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【2025】年末調整の書き方を徹底解説!正確な記入方法や注意点まで紹介

年末調整は、会社員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税額を正しく計算し、過不足を精算する手続きです。多くの方が毎年行う手続きですが、記入する書類も多く、書き方に迷ってしまうこともあるでしょう。

本記事では、年末調整の基本から各種申告書の書き方、そして注意点までを徹底解説します。これを読めば、年末調整の手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

年末調整とは?

年末調整とは、給与所得者が1年間に源泉徴収された所得税額と、本来納めるべき所得税額との過不足を調整する手続きです。会社が従業員に代わって計算を行い、税務署に申告・納税を行います。

会社員にとって年末調整は、1年間の所得税を確定させる重要な手続きです。正確に申告することで、適切な税額を納めることができ、払いすぎた税金が還付されることもあります。

確定申告との違い

年末調整とよく混同されるのが「確定申告」です。どちらも所得税に関する手続きですが、年末調整は会社が行い、確定申告は個人が行う手続きです。通常、給与所得者は年末調整で所得税の精算が完了しますが、以下のような場合には、年末調整とは別に確定申告が必要になります。

  • 副業などで給与以外の所得が20万円を超える場合
  • 2か所以上から給与を受け取っている場合
  • 医療費控除や寄附金控除など、年末調整で適用できない控除を受けたい場合
  • 住宅ローン控除を初めて受ける場合(2年目以降は年末調整で可)

自分に確定申告が必要かどうかは、事前に確認しておきましょう。

年末調整の対象者と非対象者

年末調整の対象者と非対象者

年末調整は、原則として会社から給与の支払いを受けているすべての従業員が対象です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員なども含まれます。ただし、以下に該当する人は年末調整の対象外となります。

  • 給与収入が2,000万円を超える人
  • 災害減免法の適用を受ける人
  • 非居住者(日本に住所や1年以上の居所を有しない人)
  • 年の途中で退職し、その後再就職していない人 (一定の条件を満たす人を除く)
  • 継続して同一の雇用主に雇用されない日雇い労働者など
  • 2か所以上から給与の支払いを受けている人で、他の勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人

自分が対象か非対象かどうか不明な場合は、勤務先の担当部署に確認しましょう。

年末調整で提出する申告書の種類

年末調整では、主に以下の申告書を勤務先に提出します。それぞれの申告書は、特定の控除を受けるために必要です。

申告書 概要 主な記入内容
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養控除等を受けるために提出 自身の情報、扶養親族の情報(氏名、生年月日、続柄、所得見積額など)
給与所得者の保険料控除申告書 各種保険料控除を受けるために提出 支払った保険料の種類、保険会社名、支払金額など
給与所得者の基礎控除申告書 基礎控除を受けるために提出(全員提出) 自身の氏名、住所、給与所得の金額、合計所得金額の見積額など
給与所得者の配偶者控除等申告書 配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために提出 自身の情報、配偶者の情報(氏名、生年月日、所得見積額など)
所得金額調整控除申告書 特定の要件を満たす場合に、所得金額の調整を受けるために提出 自身の情報、給与収入、扶養親族の情報、特定支出など
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除を受けるために提出(2年目以降) 自身の情報、住宅ローンの年末残高、家屋の取得対価など

引用:国税庁|年末調整

多くの場合、これらの申告書は勤務先から配布されます。 紛失した場合は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

年末調整に必要な各種申告書の書き方

年末調整に必要な各種申告書の書き方

引用:国税庁

ここからは、上記で紹介した各申告書の具体的な書き方についてわかりやすく解説します。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書
  4. 給与所得者の配偶者控除等申告書
  5. 所得金額調整控除申告書
  6. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養控除や障害者控除などを受けるために必要です。記入項目には、本人の基本情報(氏名、住所、生年月日など)や、扶養親族の氏名、個人番号、生年月日、所得の見積額などがあります。

特定扶養親族や老人扶養親族に該当する場合は、該当欄にチェックを入れます。また、障害者や寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合も、所定の欄に記入が必要です。ただし、扶養親族が海外に居住している場合、控除の適用条件が異なるため、詳細を確認してから記入してください。

引用:国税庁|年末調整

給与所得者の保険料控除申告書

生命保険料控除や地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を受けるために使用します。各控除の欄に、支払先の名称、支払金額、証明書の番号などを記入します。

特に、生命保険料控除や地震保険料控除を受ける場合は、保険会社から送付される控除証明書を添付する必要があります。証明書が手元に届いているか確認し、紛失しないよう注意してください。

また、生命保険料控除には新制度と旧制度があり、契約年月日によって適用される制度が異なります。適用制度を確認し、正しく記入してください。

引用:国税庁|年末調整

給与所得者の基礎控除申告書

基礎控除を受けるための申告書で、主に本人の所得金額や所得の種類を記入します。年間の合計所得金額が2,500万円以下であることが基礎控除の適用条件となります。記入項目には、氏名、個人番号、所得の見積額などがあります。

なお、給与等の収入金額が850万円を超える場合で、本人や扶養親族が特別障害者である場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合には、所得金額調整控除の適用を受けることができます。所得金額調整控除の書類については、後述します。

引用:国税庁|年末調整

給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者控除や配偶者特別控除を受けるための申告書です。配偶者の氏名、個人番号、生年月日、年間の所得の見積額などを記入します。配偶者の所得金額に応じて適用される控除額が異なりますので、正確に記入しましょう。

ただし、配偶者が日本国内に住所を有していない非居住者である場合、配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けられません。配偶者の居住状況を確認し、適用の可否を判断してください。

引用:国税庁|年末調整

所得金額調整控除申告書

給与などの収入金額が850万円を超える場合で、本人や扶養親族が特別障害者である場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合に提出します。記入項目には、特別障害者や23歳未満の扶養親族の氏名、生年月日、個人番号などがあります。

なお、所得金額調整控除の額は、給与の支払者(勤務先)が計算します。そのため、申告書に控除額を記載する欄はありません。必要な情報を正確に記入し、勤務先に提出することで、適切な控除が適用されます。

引用:国税庁|年末調整

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローン控除を受けるための申告書で、主に住宅の取得年月日、借入金の年末残高、控除額などを記入します。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。

記入には、金融機関からの借入金残高証明書や、住宅取得に関する契約書の写しなどが必要です。

上記で紹介した各申告書の記入にあたっては、最新の情報を確認し、正確に記入することが重要です。不明な点がある場合や詳細な記載方法については、国税庁の記載例を確認するか、会社に相談することをおすすめします。

引用:国税庁|年末調整

年末調整の書き方の注意点

年末調整の申告書は正確に記入しなければなりません。年末調整の書類を作成する際には、いくつかの注意点があります。以下にて、主なポイントを解説します。

記入漏れ・誤記

年末調整の申告書には多くの項目があり、記入漏れや誤記が発生しやすいです。特に、氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報や、控除対象となる配偶者や扶養親族の情報は正確に記入する必要があります。

誤った情報を記載すると、適切な控除が受けられない可能性があるため注意が必要です。記入後は再度問題ないか確認し、必要に応じて家族や会社の担当者にもチェックしてもらうことをおすすめします。

添付書類の提出忘れ

各種控除を受けるためには、証明書類の添付が必要です。たとえば、生命保険料控除を受ける場合は、保険会社から送付される「控除証明書」の添付が求められます。

必要な証明書類を提出しないと、控除が適用されないことがあります。年末調整書類の提出前に、必要な添付書類がすべて揃っているかを確認しましょう。

控除適用条件の再確認

各種控除には適用条件が定められています。たとえば、配偶者控除を受けるためには、配偶者の年間所得が一定額以下である必要があります。また、扶養控除や医療費控除なども、それぞれ条件が異なります。

申告前に各控除の適用条件を再確認し、自身が該当するかを確認することが重要です。不明な点がある場合は、税務署や専門家に相談することをおすすめします。

年末調整の書き方でよくある質問

年末調整の書き方の注意点

年末調整の書類作成において、よくある質問とその回答を以下にまとめました。

提出期限はいつ?

年末調整の提出期限は、勤務先によって異なりますが、一般的には11月上旬から中旬に設定されることが多いです。会社から配布される各種申告書に必要事項を記入し、指定された期限内に提出することが求められます。

提出期限を過ぎると、適切な控除が受けられない可能性があるため、早めの対応を心掛けましょう。

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?

配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得金額に応じて適用される控除制度です。配偶者控除は、配偶者の年間所得が48万円以下の場合に適用され、納税者の所得に応じて控除額が変動します。

一方、配偶者特別控除は、配偶者の年間所得が48万円を超え133万円以下の場合に適用され、配偶者の所得金額に応じて控除額が段階的に減少します。これらの控除を適用する際は、配偶者の所得状況を正確に把握し、適切に申告を行うことが重要です。

生命保険料控除の適用範囲は?

生命保険料控除は、納税者が支払った生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料が対象となります。控除額は、支払った保険料の金額や契約の種類(新契約・旧契約)によって異なります。

各保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を基に、申告書に正確に記入することが求められます。また、配偶者や親族の保険料を納税者が支払っている場合も、一定の条件下で控除の対象となることがあります。

地震保険料控除の対象は?

地震保険料控除は、納税者が支払った地震保険料が対象となります。具体的には、居住用の家屋や家財に対して契約した地震保険の保険料が該当します。なお、控除額は支払った保険料の全額(上限5万円)となります。

旧長期損害保険契約に基づく保険料も、一定の条件下で控除の対象となります。保険会社からの「地震保険料控除証明書」を基に、正確に申告書へ記入しましょう。

住宅ローン控除の適用条件は?

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、納税者が住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に適用されます。

主な適用条件として、住宅の床面積が50㎡以上であること、借入金の返済期間が10年以上であること、住宅が取得後6ヶ月以内に居住の用に供されていることなどが挙げられます。

初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けることが可能です。詳細な条件や手続きについては、国税庁のガイドラインを参照してください。

参考:国税庁|年末調整

医療費控除は年末調整で適用できる?

医療費控除は、年末調整では適用されません。年間の医療費が一定額を超える場合、確定申告を行うことで医療費控除を受けることができます。

具体的には、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額が、総所得金額等の5%または10万円のいずれか低い方を超える場合、その超過分が控除の対象となります。医療費の領収書や明細書を保管し、確定申告時に提出することが必要です。

年末調整後に確定申告が必要な場合はある?

年末調整を受けた後でも、以下のような場合には確定申告が必要となることがあります。

  • 給与所得以外に20万円を超える所得(副業収入など)がある場合
  • 医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税を含む)、雑損控除など、年末調整で適用されない控除を受ける場合
  • 住宅ローン控除を初めて受ける場合

これらの状況に該当する場合は、確定申告を行うことで、適切な控除や税額の調整を受けることができます。詳細については、税務署や専門家に相談することをおすすめします。

年末調整の書き方まとめ

年末調整は、多くの会社員にとって、1年間の所得税を確定させる重要な手続きです。この記事では、年末調整の概要から各申告書の詳しい書き方、注意点、よくある質問まで解説しました。

年末調整の申告書は一見複雑に見えますが、一つずつ確認しながら記入していけば決して難しいものではありません。不明な点がある場合は、勤務先の担当部署や税務署に相談し、疑問を解消してから申告書を作成しましょう。

年末調整の書き方を徹底解説!正確な記入方法や注意点まで紹介
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