最近、多くの人たちが「積立NISAを始めるべき」だと話しています。
ですが、積立NISAがどういったものかわからない、本当に始めていいものなのか不安だという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、積立NISAの概要についてわかりやすくまとめました。
おすすめの口座や銘柄はもちろん、始めるメリット・デメリットを解説しているので、積立NISAをスタートする参考にしてみてください。
積立NISAとは

積立NISAとは、特定の条件を満たせば非課税で利用できる積立制度のことです。
2018年1月からスタートした資産運用の方法であり、後述するおすすめの口座などに登録して投資商品を購入することにより、以下の項目が最長20年間も非課税になります。
- 分配金
- 譲渡益
つまり、投資で得た費用にまるごと税金がかからないのが積立NISAの特徴です。
参考として、株式投資で得た利益の場合には20.315%の税金を納めなければならないことから、非常にお得な資産運用の方法だと言えます。
積立NISAと新NISAの違い
最近では、積立NISAとは別に「新NISA」という言葉が利用されています。
結論として、新NISAとは2024年1月からスタートした積立制度のことです。
2023年まで利用していた「積立NISA」「NISA」の役割を引き継いでいる投資スタイルであり、2024年1月からのNISAは「積立投資枠(旧積立NISA)」「成長投資枠(旧NISA)」という2つの名称に変更されました。
なお、今までの積立NISAと新NISAには次のような違いがあります。
2023年までの積立NISA | 2024年1月からの積立投資枠 | |
制度の種類 | 「積立NISA」「NISA」のうち、どちらか一方しか選べない | 「積立投資枠」「成長投資枠」を併用できる |
投資可能期間 | 2023年まで (自動で新NISAに切り替わる) |
恒久化 |
非課税保有期間 | 20年間(2042年12月まで) | 無期限 |
年間の投資上限額 (これを超えると非課税でなくなる) |
40万円 (月額3万3,333円) |
120万円 (月額10万円) |
非課税保有上限額 (これを超えると非課税でなくなる) |
800万円 | 1,800万円 (成長投資枠の内数1,200万円) |
以上より、現在利用できるのは積立NISAの後継となる「新NISA」です。
なお、変更になったのは上記の項目が主です。
制度や運用方法は積立NISAの頃と変わらないため、本記事では積立NISAという名称のまま説明をします。
積立NISAの仕組み
積立NISAは主に次のような仕組みで、自身が投資した資産を運用していきます。
- 金融機関で積立NISA用の証券口座を開設する
- 投資したい銘柄および投資額を決めて投資する
- 投資のプロ(ファンドマネージャー)が投資額を元手に資金を運用する
- 運用益を元手に運用を継続することで徐々に運用益が増えていく
資産運用のなかではドル・コスト平均法と呼ばれる「安定的に運用益を出しやすい運用方法」が用いられているため、マイナスリスクを抑えながら資産運用を継続できます。
運用期間が長いほど運用益を生み出しやすいことから、積立NISAには「積立」という名称が用いられているのです。
積立NISAの利回りシミュレーション

積立NISAを始めることで、いったいどれくらいの運用益を得られるのかイメージできない人も多いでしょう。そこで、金融庁が公開している「つみたてシミュレーター」を使い、以下の条件による利回りシミュレーションを掲載しました。
毎月の積立金額 | 3万円 |
想定利回り(年率) | 3% |
積立期間 | 20年(30歳で始めた場合には50歳) |
上記の条件で計算をすると、上画像のように将来の運用資産額が985万円となりました。
元手となる資産が3万円×20年=720万円であることから、265万円の運用益が出る想定です。
銀行の口座に預金した場合、お金が増えることはほとんどありません。
貯蓄に余裕があるのなら、銀行預金の代わりに積立NISAで運用をしてみるとよいでしょう。
また積立NISAなどは、運用益が非課税になることから、節税にもおすすめです。
ほかの節税方法についても気になる方は、以下の記事をチェックしてみてください。
積立NISAがおすすめな人
積立NISAは、次の条件にあてはまる人におすすめの資産運用の方法です。
- ある程度貯蓄ができ、そのなかから投資に回せる費用を準備できる
- 長期的な目線で投資を継続できる
まず積立NISAは、運用益を生み出しやすい仕組みであるものの、ほかの投資方法と同じように必ず利益を出せるとは限りません。投資には100%の正解というものがないことから、時期やタイミング、世界情勢の変化によっては、マイナスリスクを受けることがあります。
そのため、積立NISAを始めるのはある程度貯蓄ができるなかで、余裕のある資金を準備できるという方におすすめです。毎月一定額銀行に預金しており、もしもの場合に備えた金額を貯蓄できている、少し貯蓄が減っても生活に影響がないという方は積立NISAとの相性が良いです。
また積立NISAは、長期的に運用を続けることで運用益を増やせます。
運用益を増やすためには長期的な投資の継続が必須ですので、長い目で投資の運用を見ていられる人におすすめです。
積立NISAはやめたほうがいい人
非課税で運用益を手に入れられる積立NISAですが、次のような考えの人はやめたほうがいいと言われています。
- 短期間で大きく運用益を出したい人
- 運用状況の変動に一喜一憂してしまう人
- 安定的な収入を確保できない人
積立NISAは長期運用が基本です。
短期間で運用益を出すことは難しいため「1年以内に収益を出したい」「すぐにでも利益をつくりたい」という人には向いていません。
また、積立NISAの運用を続けると、利回りが良いとき、悪いときがあります。
過去にはリーマンショックなどの世界的な金融トラブルにより、一時的な利回りの現象が起きました。そういった際に慌てて口座から運用資金を引き出してしまうという人も向いていません。
ほかにも、安定した収入を確保できない人は、継続的に積立投資ができないため、安定収入を確保できるようになってから積立NISAを始めるのがおすすめです。
積立NISAのおすすめ証券口座
積立NISAを始めるためには、事前に投資用の証券口座を開設しなければなりません。
そのなかでもニーズが高いおすすめの口座を以下に整理しました。
最低積立金額 | 積立頻度 | アプリ決済 | クレカ決済 | |
楽天証券 | 100円 | 毎日・毎月 | × | 〇 |
SBI証券 | 100円 | 毎日・毎週・毎月 | 〇 | 〇 |
マネックス証券 | 100円 | 毎日・毎月 | × | 〇 |
上記の項目はあくまで一例です。
例えば、SBI証券はアプリ決済に対応している一方で、楽天証券は楽天のサービスを利用している人だとお得に利用できるなど、人によってベストな証券口座が違います。
まずはどのような口座があるのかをチェックしたうえで、自分の希望に合う証券口座を選んでみてください。
積立NISAのおすすめ銘柄
投資用の証券口座を開設した後に必要なのが、積立投資をするための銘柄選びです。
積立NISAという枠のなかには200を超える銘柄が用意されており、そのなかから自分の目的に合う銘柄を選ばなければなりません。参考として以下に、おすすめの銘柄をまとめました。
投資対象 | 騰落率 (2025年1月11日時点) |
|
SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド | 米国株 | 過去3年 77.01% |
eMAXIS Slim 国内株式 | 日本株 | 過去3年 45.2% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 全世界株 | 過去3年 59.1% |
銘柄を選ぶ際には、各銘柄で公表されている運用レポートをチェックするのがおすすめです。
長く運用益を出し続けている銘柄に投資をすることで、安定的な利回りを生み出し続けられるでしょう。
積立NISAを始めるメリット
積立NISAを始めることで、得られるメリットは複数あります。
そのなかでも魅力的なポイントを以下にまとめました。
自身の資産を増やせる
銀行預金をした場合、毎年の利回りは0.02%というように低く、ほとんど資産が増えることがありません。一方で積立NISAを利用すれば、利回りを大きく増やしてリターンを得られるのが魅力です。
ただ貯金をするのではなく、貯金の一部を投資に回すことにより、預けるだけで収益を生み出せるという仕組みをつくり出せるのが積立NISAのメリットです。
投資の手間がかからない
株式投資などをおこなう場合、1分1秒で株価が変動するため、常に神経をとがらせておかなければなりません。またマイナスリスクが起こる確率が高い点にも注意が必要です。
一方で積立NISAは、長期的に運用を続けることで運用益を出せることから、頻繁に運用状況をチェックする必要がありません。証券口座を開設して銘柄を選び、定期投資を設定するだけで簡単に運用されていくため、初心者から利用しやすいのがメリットです。
なお、積立NISAは非課税枠を利用して投資ができるため、確定申告は不要となります。
そもそも確定申告とは何なのかを知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
積立NISAを始めるデメリット
投資におけるメリットの多い積立NISAですが、2つのデメリットに注意しなければなりません。
必ず運用益を出せるとは限らない
投資に成功という答えはなく、運用益を出せる場合もあれば、出せない場合もあります。
積立NISAについても例外ではなく、運用益を出しやすい仕組みであるものの、それが100%とは言い切れません。
場合によっては世界恐慌や金融破綻などの影響を受け、マイナスリスクが発生する場合もあります。生活費を積立NISAの運用に回すといった無謀な投資をしないように気を付けてください。
投資額は生活に使えないお金である
積立NISAは長期的に運用をすることで大きなリターンを得られる投資方法ですので、途中でお金を引き出すのはおすすめしません。
引き出したお金の分だけ運用益が下がるのはもちろん、積立NISAがもつドル・コスト平均法の恩恵を受けにくくなります。「生活のために少し引き出そう」「生活が厳しいから運用した資金を全部引き出そう」と動くかもしれないなら、積立NISAをしないほうがいいかもしれません。
積立NISAについてまとめ
誰でも始めやすく、安定的に運用益を生み出しやすい積立NISAは、今や日本人の多くがスタートしている投資方法です。2024年1月からは新NISAと呼ばれる積立枠が大きくなった制度も登場したことから、今までよりも大きな運用益を出しやすくなっています。
運用を始めるべきかどうかお悩みだという方は、本記事で紹介したおすすめの人、やめたほうがいい人の特徴を見ながら、自分に合う証券口座・銘柄を選んでみてはいかがでしょうか。
