キャリアチェンジを目指し、副業やスキルアップに取り組んでいる方、確定申告の準備は進んでいますか?新たな挑戦で得た収入は、確定申告が必要となる場合があります。しかし、手続きの複雑さや必要書類の多さに戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、確定申告の基本から準備、書類作成、提出のやり方、そして注意点までを徹底解説します。これを読めば、初めての確定申告も安心して進められるはずです。
確定申告とは?
確定申告は、1年間(1月1日~12月31日)の所得と、それに対する所得税額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。所得税は自己申告・納付が原則であり、正確な申告は適切な納税と税務リスクの回避に不可欠です。
以下では、確定申告の重要性やスケジュールなどについて解説します。
確定申告の重要性
確定申告により税務署は各個人の納税状況を把握し、公平な税負担を実現しています。また、医療費控除や住宅ローン控除などの各種控除を適用することで、税負担の軽減や還付を受けることが可能となります。
申告を怠ると延滞税や加算税などのペナルティが科される可能性があるため、正確かつ期限内の申告が求められます。
確定申告が必要な人とは?
確定申告が必要な人は以下の通りです。
- 個人事業主やフリーランス
- 給与所得者で副収入が20万円ある場合
- 給与収入が2,000万円を超える人
- 複数の給与所得がある場合
- 年末調整で申告できない控除を受ける場合
給与所得以外に副業などで20万円を超える所得がある人や、個人事業主として事業を営んでいる人は、確定申告が必要です。また、給与所得者でも、年収が2000万円を超える場合や、2か所以上から給与を受け取っている場合なども対象となります。
自分の状況をしっかり確認し、該当する場合は忘れずに申告しましょう。
確定申告の期限とスケジュール
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に、前年の1月1日から12月31日までの所得を申告し、所得税を納付します。期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが科される可能性があるため、早めの準備と提出が重要です。
また、還付申告(納めすぎた税金の還付を受ける申告)は、申告する年の翌年1月1日から5年間行うことができます。なお、早めに申告することで、還付金の受け取りも早くなります。
確定申告の準備のやり方
確定申告をスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。以下では、これらの準備作業の具体的なやり方とポイントを詳しく解説します。
- 必要な書類を揃える
- 収入と経費を整理する
- 帳簿を作成・管理する
必要な書類を揃える
確定申告に必要な書類は、申告者の所得状況や控除内容によって異なりますが、一般的には以下のものが必要です。
書類名 | 概要 | 入手方法 |
---|---|---|
確定申告書 | 所得や控除額、税額を記載する基本的な書類 | 税務署または国税庁ウェブサイト |
本人確認書類 | マイナンバーカードや通知カード、住民票の写しなど | 市区町村役場で発行 |
所得金額がわかる書類 | 源泉徴収票、収支内訳書、青色申告決算書など | 勤務先または自身で作成 |
各種控除申請に必要な書類 | 医療費控除の明細書、寄付金控除証明書など | 医療機関や寄付先などから取得 |
銀行口座がわかるもの | 還付金の受取口座を確認するための情報 | 銀行の通帳またはキャッシュカード |
確定申告書は、所得や控除額、税額を記載する基本的な書類です。また、本人確認のためにマイナンバーカードや通知カード、個人番号が記載された住民票の写しなどが必要です。給与所得者であれば、会社から発行される源泉徴収票が基本となります。
副業や事業所得がある場合は、支払調書や各種領収書など、収入と経費を証明する書類が必要です。また、医療費控除などを受ける場合は、医療費の領収書も忘れずに保管してください。
還付金の受け取りもあるため、通帳やキャッシュカードなど、口座情報が確認できるものを用意しましょう。
収入と経費を整理する
正確な確定申告を行うためには、年間の収入と経費を適切に整理・把握することが不可欠です。まず、全ての収入源を確認し、各収入の金額や発生日を一覧化します。次に、事業に関連する経費を分類し、領収書や請求書などの証拠書類と照合して正確な金額を算出します。
これらを整理するには、エクセルなどの表計算ソフトを活用すると効率的です。たとえば、エクセルで仕訳帳を作成し、日々の取引を記録・管理する方法があります。仕訳帳は、取引日や勘定科目、金額、取引内容などを記載する帳簿で、これを基に総勘定元帳や決算書を作成します。
また、経費の中には事業とプライベートで共用しているものもあるため、按分(あんぶん)計算が必要な場合もあります。たとえば、家賃や光熱費などは事業使用分と個人使用分を適切に分けて計上することが求められます。
帳簿を作成・管理する
個人事業主やフリーランスの方は、日々の取引を正確に記録した帳簿を作成・管理することが法律で義務付けられています。帳簿には、収入や経費の詳細、取引先の情報、取引日などを記載します。
これにより、年間の所得や経費を正確に把握でき、適切な申告と納税が可能となります。帳簿の作成には、エクセルや専用の会計ソフトを利用すると便利です。
また、帳簿や関連書類は、税務調査などに備えて一定期間(通常7年間)保存する義務があります。適切な帳簿管理は、事業の健全な運営と税務リスクの回避に直結するため、日々の記帳と整理を習慣化することが重要です。
確定申告書作成
確定申告書を作るやり方は、正確な申告と適切な納税のための重要なステップです。ここでは、確定申告書作成のやり方について詳しく解説します。
- 申告書の種類を確認する
- 申告書の記入ステップ
- 控除を正しく記入する
申告書の種類を確認する
確定申告書には「申告書A」と「申告書B」の2種類があります。申告書Aは、給与所得者や年金受給者など、所得の種類が限られている方が使用します。
一方、申告書Bは、個人事業主やフリーランスなど、多様な所得がある方、または不動産所得や配当所得がある方が使用します。自身の所得状況に応じて適切な申告書を選択しましょう。
申告書の記入ステップ
申告書の記入は、以下のステップで進めます。
1. 個人情報の記入
氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報を正確に記載します。
2. 所得の記入
各所得の種類ごとに収入金額と所得金額を記入します。たとえば、給与所得、事業所得、不動産所得など、それぞれの収入と必要経費を明確に分けて記載しましょう。
3. 控除の記入
社会保険料控除や生命保険料控除など、該当する控除額を各欄に記入します。控除額は、各種証明書に基づいて正確に計算し、記載しましょう。
4. 税額の計算
所得金額から控除額を差し引き、課税所得金額を算出し、税率を適用して所得税額を計算します。税率は、課税所得金額に応じて異なるため、最新の税率表を参照して計算しましょう。
5. 納付額・還付額の確認
源泉徴収税額や予定納税額を考慮し、最終的な納付額または還付額を確認します。これにより、過不足なく納税または還付を受けることができます。正確に記入する必要があるため、必要書類を手元に揃え、慎重に作業を進めましょう。
控除を正しく記入する
控除は納税額を軽減するために重要です。以下に主な控除を記載します。
控除の種類 | 説明 | 必要な書類 |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 青色申告を選択し、正確な帳簿を作成することで、最大65万円の控除が受けられる | 青色申告決算書、帳簿 |
社会保険料控除 | 国民年金や健康保険料など、支払った社会保険料が全額控除される | 社会保険料控除証明書 |
生命保険料控除 | 支払った生命保険料に応じて、一定額が所得から控除される | 生命保険料控除証明書 |
扶養控除 | 生計を一にする家族を扶養している場合、一定額が控除される | 扶養親族の証明書類 |
医療費控除 | 年間の医療費が一定額を超える場合、その超過分を控除できる | 医療費の領収書 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済に加入している場合、その掛金が全額控除される | 掛金の領収書 |
各控除の適用条件や必要書類は異なるため、事前に確認し、正確に記入することが重要です。控除の漏れや誤りは、納税額に直接影響を与えるため、注意深く作業を進めましょう。
確定申告提出
作成した申告書を提出して、確定申告は完了です。提出のやり方はいくつかありますので、自分に合ったやり方を選びましょう。以下で、各提出方法の詳細と注意点を解説します。
- 税務署の受付に提出
- 郵便または信書便で送付
- e-Taxを使ってオンライン申告
税務署の受付に提出
直接税務署の窓口に申告書を提出するやり方です。提出時に職員からのアドバイスを受けられるため、初めての方や不明点がある場合に安心です。ただし、申告期間中は混雑が予想されるため、時間に余裕を持って訪問することが推奨されます。
また、税務署の受付時間は平日のみであり、業務時間外に提出する場合は、税務署の時間外収受箱への投函が可能です。提出前に必要書類が揃っているか、記入漏れがないかを再確認し、控えの書類も持参すると良いでしょう。
郵便または信書便で送付
申告書を郵送または信書便で税務署に送付するやり方です。自宅から手続きが可能で、税務署に出向く手間を省けます。送付の際は、確定申告書が「信書」に該当するため、第一種郵便物(定形郵便・定形外郵便)や信書便での送付が必要です。
提出期限内の消印が有効となるため、期限ギリギリの投函は避け、余裕を持って発送することが重要です。また、控えの申告書に収受印が必要な場合は、返信用封筒(切手貼付・住所氏名記入済み)を同封し、その旨を明記してください。
送付前に、添付書類やマイナンバーの記載など、必要事項を再確認し、誤りや漏れがないよう注意しましょう。
e-Taxを使ってオンライン申告
インターネットを利用して申告書を提出するやり方で、24時間いつでも手続きが可能です。e-Taxを利用するには、マイナンバーカードと対応するICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。
事前にe-Taxソフトのインストールや利用者識別番号の取得などの準備が必要ですが、一度設定すれば次回以降の申告がスムーズになります。また、電子申告により、添付書類の省略や還付金の受取期間短縮などのメリットもあります。
確定申告提出時の注意点
確定申告書の提出時には、いくつか注意点があります。
まず、申告期限を厳守することが重要で、期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
また、申告書の控えに税務署の受付印が必要な場合、令和7年(2025年)1月以降は紙提出時の受付印が廃止されるため、代替手段として申告書等情報取得サービスの利用を検討してください。
確定申告後の税金の納付と還付の手続き
確定申告後には、税額の確認と納付、または還付金の受け取り手続きが必要です。ここでは、具体的なやり方をそれぞれ紹介します。
税額の確認と納付方法
確定申告後は、申告書に基づいて計算された納付すべき税額を確認し、期限内に納付する必要があります。振替納税では、事前に預貯金口座振替依頼書を提出することで、指定した口座から自動的に税金が引き落とされます。
e-Taxを利用する場合、ダイレクト納付というやり方があり、即時または指定日に税額を引き落とせます。また、インターネットバンキングやATMを利用した納付も可能で、これらのやり方は自宅から簡単に手続きできるのが特徴です。
クレジットカードを利用した納付も便利ですが、手数料が発生する点に注意が必要です。さらに、QRコードを使用してコンビニエンスストアで納付するやり方や、現金を持参して金融機関や税務署で納付するやり方もあります。
納付期限は、所得税が3月15日まで、消費税が4月1日までと定められているため、延滞税を防ぐためにも早めに手続きを行うことが重要です。
還付金の受け取り方法
還付申告を行った場合、申告書に記載した預貯金口座に還付金が振り込まれる手続きが取られます。申告者自身の名義の口座を記載し、記載内容に誤りがないよう注意が必要です。
特に、インターネット専用銀行の一部では還付金が受け取れない場合があるため、事前に対応可能かどうかを確認しておくと良いでしょう。
還付金が振り込まれるまでの期間は、申告後1か月から1か月半程度とされていますが、e-Taxを利用することで処理期間が短縮されるケースもあります。還付金の状況は、e-Taxのマイページから確認でき、手続きの進行状況を随時把握することが可能です。
確定申告のやり方に関するQ&A
ここでは、確定申告のやり方に関するQ&Aを紹介します。
初心者がよく抱える疑問
確定申告は初めての方にとって多くの疑問が生じやすい手続きです。たとえば、「申告が必要な人はどのような条件に該当するのか」、「申告書の作成手順や必要書類は何か」、「控除の種類と適用条件はどうなっているのか」などの悩みを抱える人が多いでしょう。
これらの疑問に対する詳細な情報は、国税庁の公式ウェブサイトや確定申告特集ページで確認できます。
参考:国税庁
参考になる問い合わせ先
確定申告に関する具体的な質問や不明点がある場合、主に2つの問い合わせ先があります。国税庁の「電話相談センター」では、税務に関する一般的な相談に対応しており、確定申告期間中は「確定申告電話相談センター」が設置され、申告に関する専門的な相談が可能です。
また、国税庁のウェブサイトでは、チャットボット「ふたば」や「タックスアンサー」といったオンラインサービスも提供されています。
確定申告まとめ
確定申告は、一見複雑ですが、手順を理解すれば誰でも正しく申告できます。重要なのは、事前の準備と正確な書類作成、そして期限内の提出です。本記事では、必要書類の準備から申告書の作成、提出のやり方、納税・還付の手続きまでを解説しました。
この記事を参考に、あなたも確定申告をスムーズに完了させ、新たな一歩を踏み出しましょう!
