「CADに関連する国家資格はある?」と疑問に思う方も多いでしょう。CADに関連する資格は数多くあるものの、民間資格しかないと思う方も多いようです。しかし、実際にCADに関連する国家資格は存在します。
また、国家資格を取得できればより就職やキャリアアップで有利になります。
本記事では、CADに関連する国家資格の種類と取得するメリット、さらに独学で学ぶための方法について詳しく解説します。資格の取得を検討している方は本記事を参考に取得してください。
CADに関連する国家資格はある?
CADに関連する国家資格と代表的となるのは「機械・プラント製図技能士」です。
CADに関連する国家資格は数多くあるものの、ほとんどが公的・民間資格であり国家資格は1つしかありません。CADの仕事に携わる上で資格はスキルを証明できるものであるため、国家資格や民間資格問わずに取得できれば様々なメリットがあります。
もちろん、国家資格は国が認めた資格であるため、日本全国どこでも証明できますが、決して民間のCAD資格は有利になるわけではありません。なかには「機械・プラント製図技能士」より認知度が高い資格もあるため、自身が目指す職種に合わせた資格を取得しましょう。
機械・プラント製図技能士とは
機械・プラント製図技能士とは、厚生労働省が主催している資格で機械やプラントの図面作成スキルを証明し、設計業務に必要な知識と技術を評価します。
「機械製図手書き作業」「機械製図CAD作業」「プラント配管製図作業」に分かれ、1級から3級まであり、級が上がるほど高度な実務経験が求められます。主な業務は、ヒアリングをもとに詳細な打ち合わせを行い、図面作成、確認・修正を経て納品することです。様々な業界で需要があり、キャリアアップに有利な資格です。
詳しくは厚生労働省のサイトからご覧ください。
CADに関連する民間資格7選
ここからはCADに関連する民間資格を7つ紹介します。
資格名 | 階級 | 難易度 | 概要 |
CAD利用技術者試験 | 【2次元】
【3次元】
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易しい |
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建築CAD検定試験 |
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普通 |
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オートデスク認定資格プログラム |
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普通 |
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Vectorworks操作技能認定試験 | なし | 難しい |
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CAD実務キャリア認定制度 |
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普通 |
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3次元設計能力検定試験 | なし | 普通 |
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CADデザインマスター | なし | 難しい |
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CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、CADソフトを活用した設計・製図業務の知識と技術を評価する資格試験です。
試験では「2次元」と「3次元」のカテゴリがあり、各級ごとに求められる内容が異なります。試験範囲は、CADソフトの操作方法、製図の基本法則、設計に関連する基礎知識。初心者にも取り組みやすい内容で構成されているため、これからCADスキルを磨きたい方にも最適です。
CAD利用者技術試験の知識を効率的に習得したい方はProskilllが運営する「3次元CAD利用技術者試験2級対策講座」の受講を検討してみてください。
建築CAD検定試験
建築CAD検定試験は、建設業界でのCAD活用スキルを評価する資格試験です。
准1級から4級までの階級があり、設計図の作成能力やCADの操作技術が試されます。また、4級は高校生限定で受験可能です。建築CAD検定試験は、実務で求められるスキルの基礎から応用までを網羅し、建築分野転職やキャリアアップを目指したい方におすすめです。
オートデスク認定資格プログラム
オートデスク認定資格プログラムは、AutoCADやAutodesk Fusionなどのオートデスク製品に関する操作スキルを証明する世界的な資格です。初心者向けの基礎レベルから、中・上級者向けの高度なレベルまで幅広い試験です。資格を取得することで、Autodesk社が公式にスキルを認定するため、世界中の企業でスキルの証明ができます。
建築や製造業界での就職や海外でCADに関連する仕事をしたいという方におすすめの資格です。
Vectorworks操作技能認定試験
Vectorworks操作技能認定試験は、Vectorworksソフトの基本操作能力を証明する資格です。
試験はインターネットを活用したIBT形式で実施され、受験者は好きな場所と時間で受講することが可能です。建築、土木、イベントデザインなど、幅広い業界で使用されており、この資格を取得することで、就職可能な職種や業界が広がります。
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、実務経験と専門知識を証明する資格試験です。
試験内容は、3次元CADトレーサーやアドミニストレーターなど、実務に直結するスキルに焦点を当てています。すべての試験が実技形式で行われるため、実務能力を証明する資格として有効。
実務で即戦力となるスキルを証明するため、CADオペレーターを目指す方に最適です。
3次元設計能力検定試験
3次元設計能力検定試験は、3次元CADを活用した設計スキルを評価する試験です。試験範囲はモデリング、アセンブリ、図面作成など多岐にわたり、設計現場で必要なスキルを実証します。
受験者は選択した科目での専門性を示せるため、即戦力としてのアピールを企業にでき、CADスキルの証明として企業からも高く評価されています。
CADデザインマスター
CADデザインマスターはデザイン分野のCADスキルを証明します。試験は在宅受験が可能で、指定期間内に解答を送付する形式です。
CADデザインマスターを取得することで、デザイン業界や製造業界での就職や転職が有利になります。図面作成スキルが問われるため、実務で即戦力となる能力を証明する試験として注目されています。
CADの資格は国家資格以外意味ない?
CADの資格は国家資格以外を取得しても十分意味があります。インターネットでCADの資格を検索すると「取得しても意味ない」という言葉を目にすることもあります。この言葉を見て不安になる方もいるでしょう。
しかし、CAD関連の資格はその分野や業界に特化したスキルや知識を証明するものが多く、実務経験のない方やスキルを客観的に示したい場合に有効なのです。民間資格であっても一定の信頼性があり、建築・製造・デザイン業界などでは採用やキャリアアップにおいてプラスに働くことが多いです。
民間資格は目指す業種や業界によっては国家資格に匹敵するほどの効果を発揮する場合もあり、一概に意味がないとは言えません。
CADに関連する資格を取得するメリット
CADに関連する資格を取得するメリットは以下の4点です。
- 専門知識の保持をアピールできる
- 就職や転職の選択肢が広がる
- 資格手当や待遇が改善される
- 業務効率の向上が見込める
専門知識の保持をアピールできる
CADに関連する資格を取得することで、専門的な知識やスキルを持っていることを証明できます。
資格は単なる操作技術だけでなく、製図法や設計の基礎知識といった理論的な背景も理解していることを示すため、クライアントや企業に対して信頼性を高める手段と言えるでしょう。
特に実務経験が浅い方にとっては、資格を持っておくことで自分の能力を伝えることが可能です。また、最新の業界標準や技術トレンドを学ぶ機会にもなるため、資格取得そのものが専門性の向上につながります。
就職や転職の選択肢が広がる
CAD資格を取得することで、就職や転職の際に選べる業界や職種の幅が大きく広がります。
建築、機械設計、製造業、インテリアデザイン、イベントデザインなどCADスキルが求められる分野は様々です。資格を持っていることは、未経験者やキャリアチェンジを目指す人にとって、自身のポテンシャルをアピールする武器にもなります。
また、求人条件で資格を必須とする企業もあるため、取得しておくことで応募可能な選択肢が増え、就職活動を有利に進めることができます。
キャリアアップを目指す方は以下の記事で詳しく解説していますので併せてご一読ください。
資格手当や待遇が改善される
CAD資格を取得することで、資格手当や昇給など待遇が改善される場合があります。
企業によっては資格取得を奨励する制度や資格手当を導入しているところもあり、スキルアップが収入アップにつながる可能性も。また、資格を持つことで業務の幅が広がり、より高度な業務や責任を任される機会が増えるため、収入も上がりやすくなるでしょう。
特に、CADスキルが必要とされる職場では資格保有者が他の社員と差別化され、評価されやすくなることが期待できます。
業務効率の向上が見込める
CAD資格を取得する過程で習得する知識やスキルは、実務における業務効率の向上も期待できます。
資格試験では、ソフトウェアの効率的な操作方法や正確な図面作成のテクニック、設計の基本理論などを学ぶため、仕事の質とスピードは自然と上がります。また、資格取得後もスキルアップを意識するようになり、新しい技術や機能を積極的に取り入れる姿勢が身につくため、結果的に職場での生産性や信頼性も向上するでしょう。
CADに関連する資格を取得する独学方法
CADに関連する資格を取得する独学方法は主に以下の2点が挙げられます。自分が継続できる方法を選択しましょう。
- 参考書を活用する
- 公式動画で視覚的に学ぶ
方法①参考書を活用する
引用:Amazon
参考書を活用した独学は、体系的に知識を習得するのに最適な方法です。
資格試験向けの参考書には試験範囲に沿った解説や演習問題が網羅されており、効率よく学習を進めることができます。メリットは、自分のペースで学べる点と何度も繰り返し学習ができること。一方で、初心者にとっては専門用語や操作手順が抽象的に感じられ、実際の操作イメージが掴みにくいというデメリットもあります。
そのため、参考書を活用する場合は、実際にCADソフトを操作しながら学ぶことが効果的です。
方法②公式動画で視覚的に学ぶ
引用:Autodesk
公式動画を活用した学習は、視覚的に操作手順や画面の動きを確認しながら学べるため、初心者におすすめの方法です。Autodesk社提供する公式動画では、実際の画面操作を用いて機能の解説や作図方法を説明しており、実務に近い形で学べるのが特徴。
メリットは、実際の操作イメージを掴みやすい点や最新機能についての理解を深められることです。ただし、動画学習は特定の場面だけを解説していることも多く、体系的な知識を習得しづらいというデメリットがあります。
公式動画で効果的に学習するのであれば、動画視聴後に参考書や実践操作と組み合わせると良いでしょう。
短期間で資格を取得するならセミナーの受講がおすすめ
資格取得を目指すのであれば一番効果的なのは、作図を行うことです。しかし、CAD操作や作図方法を短期間でマスターするのは、簡単ではありません。
独学では操作方法や試験の傾向を正しく理解するのが難しく、専門用語や試験形式に不慣れな初心者にとっては挫折の原因となることも。そこでおすすめなのが、セミナーを受講する方法です。セミナーでは、経験豊富な講師が直接指導を行い、ポイントを絞った学習が可能なうえ、作図の方法をわかりやすく解説してくれます。
ここではおすすめのセミナーを2つ紹介します。
Autodesk Fusionセミナー講習
Proskilllが運営する「Autodesk Fusionセミナー講習」は、未経験者でも2日間で3DCADの基礎から応用操作までを実践的に学べる短期集中講座です。会場受講、オンライン講座、eラーニングの3形式から選択可能で、公式認定の修了証明書も取得できます。
受講内容を復習できる教材も提供され、講座内容はモデリング技術や応力解析、アセンブリ設計など幅広く網羅。実務に直結するスキルを短期間で習得できます。
受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
受講料金 |
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持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
会場住所 |
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AutoCAD基礎セミナー講習
Proskilllが運営する「AutoCAD基礎セミナー講習」は、未経験者から実務で使える技術を2日間で習得できるセミナーです。
会場受講、ライブウェビナー、eラーニングの3形式で開催され、受講後も復習用eラーニングやオプション教材「復習パック」が利用可能です。内容は初期設定から作図補助機能、注釈設定、テンプレート作成まで幅広く、講座終了後はPDF形式のオリジナル教材も提供されます。
東京、名古屋、大阪の各会場で定期開催され、短期間で実務レベルを身につけたい方におすすめです。
受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
受講料金 |
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持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
会場住所 |
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CADの資格を活かせる業種
CADの資格を活かせる業種は以下の3点が挙げられます。
建築業界
建築業界では、CADを使用して建築物の設計や施工図の作成を行います。CAD資格を持っていると、設計事務所や建設会社でCADオペレーターや設計担当者として活躍できます。
特に、3次元CADを活用すれば建築物を立体的に可視化し、設計の精度や施工の効率を高めることができます。さらに、BIM技術の活用で建築プロジェクト全体を効率的に管理するスキルも求められています。建築業界でキャリアを広げたい方は、JobTechが運営する建設業・土木業に特化した転職支援サービス「JobTech for 建築業・土木業」を利用してみてください。
製造業
製造業では、CADを使用して製品や部品の設計を行います。
CAD資格を持っていると、製造メーカーや設計事務所で設計エンジニアやプロダクトデザイナーとして活躍できます。自動車や機械、家電製品の設計では3次元CADが活用され、部品間の干渉チェックや強度解析を行うことで、高品質な製品を効率的に開発できます。
また、設計データをもとに生産ラインの自動化や工程管理に貢献することも可能です。製造業界への転職を考える方は、「JobTech for 製造業」の転職支援サービスを活用し、自分のスキルに合った職場を見つけましょう。
アパレル業界
アパレル業界では、CADを使用して衣服やアクセサリーのパターン設計や試作のデジタルモデリングを行います。CAD資格を持っていると、アパレルメーカーやデザインスタジオでパタンナーやデザイナーとして活躍できます。
3次元CADを使うと、仮縫いを行わずにデザインを立体的に確認でき、製品開発のスピードと精度が向上。また、カスタマイズ需要に対応した製品の設計にも役立つでしょう。アパレル業界やその他の業種でCADを活用した転職を考えている方は、「JobTech for CAD」を活用してみてください。
CADの国家資格に関するよくある質問
CADの国家資格に関するよくある質問についてまとめています。
CADの国家資格についてのまとめ
CAD資格の取得は就職・転職の選択肢を広げ、キャリアアップや業務効率向上が期待できます。国家資格である「機械・プラント製図技能士」はもちろんですが、民間資格も専門スキルを証明し、転職や就職で有利になるでしょう。
本記事を参考に、自身のキャリア目標に最適な資格取得を目指し、効率的な学習方法を選択してください。
