「CAD資格を取得したいけど、どの資格を取得すればいい?」と悩む方も多いでしょう。CADは建築、製造、デザインなど幅広い分野で求められるスキルですが、初心者が最初に取るべき資格や勉強方法は意外とわかりにくいものです。
そこで本記事では、初心者にもおすすめのCAD資格8選を一覧表でわかりやすく紹介。また、初心者におすすめの資格や勉強方法を解説しています。CAD資格を取得してキャリアアップを目指す方は最後までご覧ください。
CAD資格は初心者でも取得できる?
CAD資格は初心者でも取得可能ですが、選ぶ資格や学習方法が重要となります。
CAD資格の多くは基本的な操作スキルや図面作成の知識を問う内容で、専門的な業務経験がなくても基礎的知識があれば合格できるものがほとんどです。特に「CAD利用技術者試験」や「建築CAD検定」は初心者向けの資格で、独学でも十分に取得は可能でしょう。
一方で、資格ごとに求められるCADソフトがあるため、自分が目指す業界や用途に合わせて資格を選ぶことが重要です。初めて資格の取得に挑戦する際は難易度が低いものから取り組みましょう。
CAD資格は取得しても意味ない?
「CAD資格は取得しても意味がない」と言われる理由の一つは、資格そのものが即戦力となるスキルや実務経験を証明するものではないと考えられるためです。CADを扱う仕事のほとんどはソフトウェアの操作に加えて、設計意図を汲み取りチームでの協働が求められるため、資格だけでは判断できないのです。
しかし、CAD資格は基礎的なスキルを持っていることを示せるため、未経験者や初心者が就職活動やキャリアチェンジでアピールするには有効と言えるでしょう。また、資格取得を通じて得られる知識や技術は、実務でも活用できます。
CAD資格8選の一覧表
ここからはCADに関連する資格以下8個を紹介します。
資格名 | 階級 | 難易度 | 特徴 |
CAD利用技術者試験 | 【2次元】
【3次元】
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易しい |
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建築CAD検定試験 |
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普通 |
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オートデスク認定資格プログラム |
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普通 |
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Vectorworks操作技能認定試験 | なし | 難しい |
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CAD実務キャリア認定制度 |
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普通 |
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3次元設計能力検定試験 |
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普通 |
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CADデザインマスター | なし | 普通 |
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機械・プラント製図技能士 |
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難しい |
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CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、国内で最も一般的なCAD資格です。
2次元CADと3次元CADの2種類があり、それぞれ基礎から応用まで幅広い範囲の知識とスキルが問われます。試験の特徴として、CADの基礎操作はもちろんのこと、図面の読み方や書き方、製図の規定など、設計業務に必要な能力を総合的に評価します。
CADの基礎的な知識とスキルを習得していることを証明でき、就職活動や転職活動において有利になるでしょう。CAD利用技術者試験を短期間で効率よく学習したという方はProskilllが運営する「3次元CAD利用技術者試験2級対策講座」をご利用ください。
建築CAD検定試験
建築CAD検定試験は、建築分野に特化したCAD資格です。建築図面を作成するために必要な知識と技術を評価します。
准1級から4級までレベルが分かれており、レベルが上がるにつれて、高度な知識とスキルが求められます。建築CADソフトの操作はもちろんのこと、建築基準法や構造計算など、建築設計に必要な専門知識も問われる点が特徴。資格を取得できれば、建築設計事務所や建設会社など、建築業界で働くためのスキルを身につけていることを証明できます。
オートデスク認定資格プログラム
オートデスク認定資格プログラムは、世界的に有名なCADソフトウェアメーカーであるAutodesk社が提供する資格です。
AutoCADをはじめ、Autodesk Revit Architecture、Autodesk Fusionなど様々なオートデスク製品に対応した資格があります。オートデスク認定資格プログラムは、各製品の専門的な知識とスキルを評価し、国際的な基準に基づいて認定。
合格することで、Autodesk製品の高度なスキルを有していることを世界的にアピールでき、国内だけでなく世界でCADを取り扱っている企業にスキルや知識を証明できます。
Vectorworks操作技能認定試験
Vectorworks操作技能認定試験は、VectorworksというCADソフトウェアの操作スキルを評価する資格です。Vectorworksは建築、インテリアなど、様々な分野で利用されているCADソフトウェアであり、それぞれの分野に特化した試験があります。
資格を取得することで、Vectorworksを効率的に活用できることを証明でき、Vectorworksを利用している企業への就職や転職に有利になるでしょう。
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、一般社団法人コステックエデュケーションが主催する、CADスキルや実務経験を証明する認定制度です。
3次元CADトレーサーやCADアドミニストレーターなど3種類の試験を通じて、技術者のスキルを等級化し評価します。試験は主に実技形式で行われ、事前課題の提出が求められる場合も。
CAD技術の進化に伴い、設計や製造、建築、服飾など多岐にわたる分野で2Dから3Dへの移行が進む中、CAD実務キャリア認定制度は専門スキルの習得と実務への応用を支援する資格と言えるでしょう。
3次元設計能力検定試験
3次元設計能力検定試験は、3次元CADを用いた設計能力を評価する資格です。
3次元モデルの作成、解析、シミュレーションなど、3次元設計に必要な一連の作業に関する知識とスキルが問われます。試験は3つのコースに分かれており、「3次元CADコース」「図面作成コース」「プロ設計者コース」で3次元CADを用いた製品設計や建築設計など、高度な設計業務に携わるための能力を身につけていることを証明できます。
CADデザインマスター
CADデザインマスターは、日本デザインプランナー協会が主催する資格で、AutoCADやJw_cadを用いた2D・3D設計スキルを認定します。
建築、機械、土木、設備、インテリアなど幅広い分野において、図面作成能力やCADの専門知識を備えた人材が対象。CADオペレーターとしての技術証明だけでなく、住宅メーカーや家電・服飾メーカーでの製図作業、さらにCAD講師としても活躍できるでしょう。
正確な図面作成や設計者の意図を形にする能力が重要で、柔軟な対応力とセンスも必要です。
機械・プラント製図技能士
機械・プラント製図技能士は、機械やプラントの製図に関する国家資格です。
機械製図、配管製図、電気製図など、機械やプラントの設計に必要な製図に関する知識と技能が問われます。この資格を取得することで、機械設計やプラント設計の現場で活躍するためのスキルを身につけていることを証明でき、国家資格であることから信頼性も高い資格と言えるでしょう。
CAD初心者におすすめの資格
CAD初心者におすすめの資格は「CAD利用技術者試験」「建築CAD検定3級」です。
CAD利用技術者試験は国内で最も認知度が高く、2次元CADと3次元CADの基礎操作から応用まで幅広く学べる内容となっています。試験では、CADソフトの基本操作だけでなく、製図規定や図面の読み書きのスキルも評価されるため、設計業務全般に必要な知識を効率的に習得可能です。
また、建築CAD検定3級の2023年度における合格率は約70%と比較的難易度は低いと言えるでしょう。ただし、准1級の合格率は約7%と非常に難しい試験といえます。段階を踏んで自分のレベルに合った資格から取得していきましょう。
以下の記事では、資格取得のための勉強方法についても解説しています。独学で習得したいという方はご覧ください。
CAD初心者が資格取得をする際に勉強するべきソフト一覧
ここからは初心者が資格取得する際に勉強するべきCADソフトを3つ紹介します。
ソフト名 | ライセンス費用 | 概要 |
Autodesk Fusion |
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AutoCAD |
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Jw_cad | 無料 |
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Autodesk Fusion
Autodesk Fusionは、Autodesk社が提供するCAD/CAM/CAEを統合した3Dモデリングソフトで、設計、解析、製造工程を一貫して行えるのが特徴。直感的なリボンメニューで初心者にも扱いやすく、パラメトリックモデリングやアセンブリ機能、レンダリング、解析機能など、幅広いニーズに対応可能です。
また、クラウドベースのためどこからでもアクセスでき、サブスクリプション形式の手頃な料金で利用できます。先述した資格では「オートデスク認定資格プログラム」や「CAD実務キャリア認定制度」など多くの試験で操作スキルが求められます。
AutoCAD
AutoCADは、建築設計や機械設計など多様な分野で使用されるAutodesk社のCADソフトで、2Dおよび3Dの作図に対応しています。
アドオンソフトや業種別ツールセットによる高い拡張性が挙げられ、各業種に適した機能を簡単に追加できるため、初心者にも扱いやすい点が魅力。また、汎用2DCADとして世界トップクラスのシェアを誇り、世界中で広く利用されているため、設計データの共有や受け渡しがスムーズにできます。
利便性や柔軟性が高いソフトで、初心者からプロまで幅広いユーザーに支持されています。
Jw_cad
引用:Jw_cad
Jw_cadは、日本人が開発した無料で利用できる2D CADソフトウェアで、建築設計に特化している点が特徴。
建築士が開発に携わっているため、建具や設備などの簡単作図、透明図やアイソメ図の作成、日影図の作成など、建築設計に必要な機能が揃っています。また、マウス操作による直感的な操作が可能で、コマンド入力も最小限に抑えられるため、初心者でも比較的容易に習得できます。Mac版も提供されており、Macユーザーも利用できるのはメリットと言えるでしょう。
「コストを抑えながら効率的に建築図面を作成したい」「作図を練習したい」という方におすすめです。Jw_cadを短期間で学習したいという方はProskilllが運営する「Jw_cad基礎セミナー」の受講も検討してみてください。
初心者がCAD資格を取得する勉強方法
初心者がCAD資格を取得するための勉強方法については以下の3点です。
- 参考書を活用する
- 公式動画で視覚的に学習する
- セミナーを受講する
方法①参考書を活用する
CADの参考書は、基礎から応用まで体系的に学ぶことができる点が魅力です。図解やサンプル問題が豊富に掲載されており、独学でじっくりと学習を進めることができます。また、自分のペースで学習できるため、忙しい人でも無理なく続けられます。
しかし、参考書だけでは理解できない部分が出てくる可能性も。質問できる相手がいないため、学習のモチベーションを維持するのが難しいでしょう。
方法②公式動画で視覚的に学習する
CADソフトのメーカーが提供している公式動画は、ソフトの操作方法を実際に画面を見ながら学べるため、視覚的に理解しやすい点が魅力です。例えば、Autodesk社が提供している公式動画初心者の方を対象に基礎から段階的に解説されています。無料の動画も多く、気軽に学習を始めることができます。また、何度でも繰り返し視聴できるため、自分のペースで復習することも可能。
ただし、動画だけでは実践的なスキルを身につけるのは難しく、自分で実際に操作しながら練習する必要があります。
方法③セミナーを受講する
CADのセミナーは、経験豊富な講師から直接指導を受けることができるため、短期間で効率的にスキルアップを図ることができます。他の受講生と交流することで、モチベーションを高めたり、疑問点を解消したりすることも。
しかし、セミナーの費用が高額な場合があり、自分の都合に合わせて受講できる時間が限られている場合があります。また、集団での学習のため、個別の質問がしにくい場合もあるでしょう。そこでおすすめのセミナーを2つ紹介します。
Autodesk Fusionセミナー講習
Proskilllが運営する「Autodesk Fusionセミナー」は、Autodesk Fusionの基礎から実務レベルまでのスキルを2日間で習得できるプログラムです。
3Dモデリングの基礎から、応力解析、組立図の作成まで、幅広い機能を学び、製品開発に必要なスキルを習得できます。実務で役立つ実践的な内容で構成されており、オリジナル教材も提供されるため、効率的に学習を進めることができます。東京、名古屋、大阪など全国で開催されており、オンライン受講も可能です。
受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
受講料金 |
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持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
会場住所 |
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AutoCAD基礎セミナー講習
AutoCAD基礎セミナー講習は「Autodesk Fusionセミナー講習」同様にProskilllが運営するセミナーで、AutoCADの基礎を2日間で習得できます。初心者にもわかりやすい基礎的な内容から中・上級者向けの応用まで網羅されています。
対面での受講はもちろん、ライブウェビナーやeラーニングなど自分が希望する形式で受講できるため、全国どこに住んでいても受講が可能です。受講後はAutodesk公認の修了証明書が発行されるため、転職の際にスキルを証明できます。
受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
受講料金 |
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持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
会場住所 |
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CAD資格が活かせる業種一覧
CAD資格が活かせる業種は以下の3つが挙げられます。
- 建築業界
- 製造業
- インテリア業界
建築業界
建築業界では、CADは設計図の作成や3Dモデルの作成に欠かせないツールとなっています。建築士や設計士は、CADを用いて建物の構造や外観を設計し、クライアントにプレゼンテーションを行います。
CADの資格を取得することで、設計業務の効率化や精度向上に貢献でき、建築業界でのキャリアアップにつながります。建築業界に転職する際に有利な資格としては「建築CAD検定」「BIM技術者検定」などが挙げられます。
また、建築業界に転職を考えている方はJOB TECHが運営する「JobTech for 建築業・土木業」の利用を検討してみてください。
製造業
製造業では、CADは製品設計、製造工程の計画、品質管理など、幅広い分野で活用されています。
機械設計、電気設計、自動車設計など、様々な分野のエンジニアがCADを用いて製品の設計を実施。CADの資格を取得することで、製品開発のスピードアップやコスト削減に貢献でき、製造業でのキャリアアップにつながります。製造業で取得するべき資格は「機械・プラント製図技能士」「CAD利用技術者試験」などが挙げられます。
また、製造業界に転職を考えている方はJOB TECHが運営する「JobTech for 製造業」の利用を検討してみてください。
インテリア業界
インテリア業界では、CADはインテリアデザインや空間設計に活用されています。
インテリアデザイナーは、CADを用いて部屋のレイアウトや家具配置を設計し、クライアントに提案を行います。CADの資格を取得することで、デザインの表現力やプレゼンテーション能力が向上するでしょう。
また、インテリア業界で有効な資格としては「3次元CAD技能検定」「CADデザインマスター」が挙げられます。インテリア業界に転職を考えている方はJOB TECHが運営する「JobTech for CAD」の利用を検討してみてください。
CAD資格一覧についてのまとめ
CAD資格を取得すれば、転職や就職で有利になるでしょう。本記事では、初心者におすすめの資格や特徴、勉強方法を詳しく解説しました。まずは難易度の低い資格や自身の業界に適したものから挑戦し、基礎を固めることが重要です。
また、適切なソフトを選び、参考書や公式動画、セミナーなどを活用して効率的に学習しましょう。本記事を参考に資格の取得から転職までを検討してみてください。
