建築設計の転職について「未経験だから転職が不安…」「ホワイト企業・ブラック企業の違いを判別できない」と不安を感じていないでしょうか。建築設計の求人は、数が多い反面、条件の悪い職場も紛れているため、ホワイト求人の見分け方や信頼できる転職サイト選びが不可欠です。
そこでこの記事では、建築設計の転職の難易度や、おすすめの転職サイト・エージェントについてまとめました。転職活動を成功させる動き方も紹介しているので、転職先探しの参考にしてみてください。
建築設計の転職は難しい?
「建築設計の転職は難しい」と言われることもありますが、結論から言うと現在は、人材としての需要が高いため、条件さえ合えば売り手市場(採用されやすい状況)です。
ただし、ブラック求人が多い業界でもあるため、情報収集不足や準備不足のまま転職を進めると失敗しやすい点に注意しなければなりません。ここでは、建築設計の転職市場の現状について、具体的な数値状況を紹介します。
建築業界の人材不足と採用動向(売り手市場)

国土交通省が公開している「建設業を巡る現状と課題」の資料より、現在は建築設計に携わる人材を含む建設従事者の割合が減少しているため、多くの企業が人材を求める「売り手市場」となります。
また、帝国データバンクが公開している「人手不足倒産の動向調査」によると、人手不足によって倒産している企業のうち28.9%を建設業が占めており、年々倒産数も増加している状況です。
調査年度 | 人手不足倒産の件数 |
---|---|
2024年 | 全体342件中、99件(28.9%) |
2023年 | 全体260件中、91件(35.0%) |
2022年 | 全体140件中、34件(24.3%) |
このような背景もあり、建築設計を含む業界では、喉から手が出るほど人材確保に力を入れています。経験者はもちろん、設計補助レベルの未経験者でも、育成前提で転職採用されるケースが増えている状況です。
また、建築施工が未経験の方は、以下の記事もチェックしてみてください。
ホワイトな建築設計求人の見つけ方
売り手市場である建築業界ですが、その分だけブラック求人も増えているため、ホワイトな建築設計求人を見つけるコツを知っておくことが大切です。以下に選別のポイントをまとめました。
チェックポイント | 概要 |
---|---|
残業・休日出勤の実態を確認する | 求人票と実情が異なる場合があるため、事前に質問する |
有給休暇の取得実績を聞く | 有給が取りやすい=職場の人間関係・業務調整力が高い |
年収水準が相場と比べて適正か確認する | 「建築設計の未経験歓迎」の場合、低すぎる提示に注意 |
教育体制・資格取得支援制度があるか | CAD・BIM研修、資格費用補助などがある職場は未経験者も安心 |
口コミ・評判サイトで内部情報を調べる | Webから退職理由・職場環境のリアルな声を確認 |
建築設計の仕事への転職後に後悔しないためにも、ぜひ上記のポイントを押さえてホワイト求人に絞り込んでいきましょう。
条件の悪いブラック求人の見分け方

建築設計のホワイト求人を探すためには、ブラック求人の条件・基準を把握しておくことも大切です。以下に、ブラック企業の懸念のある特徴をまとめました。
- 残業時間が常態化しているのに「月20時間以内」などと記載
- 有給取得率の記載がない or 取得実績が年間数日だけ
- 年収が相場より大幅に低いのに「未経験歓迎」とだけ記載
- 常に求人を出している(離職率が高い可能性あり)
- 「アットホームな職場」が強調されている(社内規律が緩い場合もあり)
国土交通省が公開する「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和5年度)」によると、建築設計を含む建設業のうち、14.9%の企業で月平均の残業時間が45時間を超えています。(上画像参照)
働き方改革法の残業上限ギリギリの会社も少なからずあるため、事前チェックが欠かせません。
建築設計の転職におすすめのサイト・エージェント
建築設計の転職をする際に、転職サイトやエージェントの数が多く、どのサービスを利用すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、未経験、キャリアアップ、建築設計事務所というジャンルに分けて、おすすめのサービスを紹介します。
※表示している求人数は、2025年7月4日時点で「建築設計」と検索して表示された掲載数です。
建築設計の未経験者におすすめの転職サイト・エージェント2選
未経験から建築設計にチャレンジしたい人向けに、おすすめの転職サイト・転職エージェントを2つまとめました。
転職サイト・エージェント | 求人数 (2025年7月4日時点) |
おすすめ転職ポイント |
---|---|---|
ワークポート | 1,941件 | ・未経験求人を豊富に掲載 ・キャリア相談も可能 ・年収交渉にプロが対応 |
マイナビAGENT | 343件 (+非公開16件) |
・大手エージェントからサポートあり ・非公開求人もチェック可能 |
未経験の求人は、建築系・建設系の専門転職サイト・転職エージェントよりも、大手の転職サイト・転職エージェントのほうが見つかりやすい傾向にあります。
建築設計が未経験の方は、こちらの記事もおすすめです。
キャリアアップにおすすめの転職サイト・エージェント2選
現在のスキルからさらに上に行きたい建築設計者向けに、おすすめの転職サイト・転職エージェントを2つ紹介します。
転職サイト・エージェント | 求人数 (2025年7月4日時点) |
おすすめ転職ポイント |
---|---|---|
建設・設備求人データベース | 717件 | ・高収入求人あり ・キャリアアップに強い求人あり |
建築転職 | キーワード検索不可 | ・建築系の求人が多い ・14,500件の非公開求人あり |
建築設計としてのキャリアアップを目指しているなら、その分野のサポートに強い転職サイト・転職エージェントを利用しましょう。
面接サポート、年収交渉などがあるサービスを選べば、自身の建築設計スキルを活かした最適な求人を見つけられます。
設計事務所・意匠設計に強い転職サイト・エージェント2選
建築設計事務所や意匠設計に携わりたい方は、以下に示す転職サイト・転職エージェントをチェックしてみるのがおすすめです。
転職サイト・エージェント | 求人数 (2025年7月4日時点) |
おすすめ転職ポイント |
---|---|---|
ビルドジョブ | 未公開 | ・建築系やCADオペ求人が豊富 ・内定獲得に向けたサポートあり (内定獲得率77%実績あり) |
建設転職ナビ | 2,337件 | ・求職者満足度80%の実績 ・建設全体求人を網羅 |
数は少ないものの、建築設計事務所や意匠設計に強い求人を取り扱っているサービスも見つかります。明確に働きたい分野があるのなら、ぜひ上記の転職サイト・転職エージェントを利用してみてください。
建築設計の転職活動を成功させる3ステップ
建築設計の転職で失敗しないためには「自己分析」「求人選定」「面接・ポートフォリオ準備」の3段階で活動を進めることが重要です。
この3ステップを押さえて行動すれば、転職後のミスマッチを防ぎ、キャリアアップやワークライフバランス向上につなげられます。
- 自己分析とキャリアの棚卸し
- 転職エージェント・転職サイトの活用
- 面接・ポートフォリオ対策
ステップ1|自己分析とキャリアの棚卸し
建築設計の転職を成功させるためには、まず自己分析とキャリアの棚卸し(整理)が重要です。
建築設計の転職理由を明確化し、次の情報などを整理することで、求人選びで軸がぶれずミスマッチを防げます。
- 希望年収
- 勤務地
- 残業許容範囲
- 設計分野
特にキャリアアップや労働環境改善など転職目的を整理し、面接や転職エージェントとの面談時に具体的に伝えられるように準備しておきましょう。また未経験者の方は、このタイミングでCADやBIMの操作スキルを身につけておくと、転職で有利になります。
なお、CAD・BIM関連のスキルを身につけたい方は、セミナー講習を受講するのがおすすめです。
まず、建築系の転職先でよく利用されている「AutoCAD」に興味がある方は、以下のセミナー講習がおすすめです。
同じく建築の仕事でもよく使われている3DCAD「SOLIDWORKS」を学んでみたい方は、次のセミナー講習に参加してみましょう。
さらに無料でインストールできる初心者向けのCADソフト「Jw_cad」の使い方を学びたい方は、以下のセミナー講習からスタートするといいかもしれません。
また近年では、3Dモデルと属性情報を組み合わせた新たな設計プロセスであるBIMソフトも需要が高まっています。建築系の転職先で重宝されているBIMソフト「Revit」のセミナー講習がおすすめです。
ステップ2|転職エージェント・求人サイトの活用
建築設計の転職では、求人サイトと転職エージェントを併用するのがおすすめです。
求人サイトで多様な求人を比較しつつ、エージェントを活用することで非公開求人情報の収集や条件交渉、面接対策が可能となります。
建築設計のホワイトな求人情報を集めるためにも、複数のエージェントに登録し、建築設計業界の残業時間や年収相場、働き方などの内部情報を確認しながら進めると安心です。
ステップ3|面接・ポートフォリオ対策
建築設計の転職活動で、特に重要なのが、面接・ポートフォリオ対策です。
まず経験者の場合は、建築設計業務での実績をわかりやすく整理し、設計分野やプロジェクトでの工夫点、使用ツールなどを簡潔にまとめたポートフォリオを準備しましょう。
また未経験者の場合は、現在どのようなスキルがあり、入社後にどう技術を学んでいくのかを明確にしておくと安心です。
加えて、面接では転職理由やキャリアプラン、志望動機を整理し、残業や休日取得についても確認することが重要です。「伝える力」を高めることが内定率向上につながります。
建築設計の転職についてよくある質問
建築設計の転職で厳密な年齢制限はありません。ただし、30代後半以降は実務経験や資格の有無が重視されます。特に即戦力採用が多いため、転職前にCADやBIMの学習、ポートフォリオ整理や資格取得、マネジメント経験の棚卸しをしておくことが重要です。
建築設計の転職についてまとめ
建築設計の転職は現在、売り手市場が続いており、転職理由やキャリアの棚卸し、ホワイト求人の見極めができれば十分に転職を成功できるでしょう。
また、未経験者も基礎知識や設計ソフト学習を準備すれば挑戦できます。
理想のキャリアと働き方を実現するため、今から建築設計の転職の準備を始めましょう。

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