35歳で年収600万円といえば、「若いのに高収入」「転職に有利な人材」と感じる方も多いでしょう。一方で、「35歳で年収600万円は転職に注意」という警鐘もネット上で散見します。
そこで今回は、35歳・年収600万円は転職に注意といわれる理由を解説します。35歳の年収中央値、35歳の年収600万円の割合もお伝えするので、35歳で年収600万円、かつ転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
35歳・年収600万円は高水準?
35歳という年齢で、年収600万円は高水準なのでしょうか?まずは、35歳で年収600万円がどのくらいの水準なのか、以下の2点から解説します。
- 給与所得者全体での位置づけ
- 35歳の年収中央値と割合
①給与所得者全体での位置づけ
まずは、年収600万円は給与所得者でどういった位置づけなのかを見てみましょう。
国税庁の最新調査「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均給与は460万円でした。この数字と比較すると、年収600万円は平均を大きく上回っています。
加えて、この調査で最も多い給与階級は、男性で「400万円超500万円以下」(17.5%)、女性で「100万円超200万円以下」(20.5%)でした。このことからも、年収600万円は給与所得者全体で見ても、比較的高水準に位置づけられるといえるでしょう。
参照:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
②35歳の年収中央値と割合
続いて、dodaが2023年9月~2024年8月に集計した平均年収のデータを元に、35歳の年収中央値について解説します。
このデータによると、35歳の平均年収は459万円(男性513万円、女性393万円)でした。しかし、実際の年収分布を見ると中央値はこれより低い水準にあることがわかります。
上記画像を参照すると、最多層は300万~400万円未満、500万円未満までの割合は実に65.7%と半数を上回っています。中央値は全体を二分する値(50%の位置)であるため、この分布から35歳の年収中央値は約420万~450万円の範囲にあると推定されます。
つまり、35歳では半数以上の人が年収450万円以下であり、平均年収を上回る人は全体の半数未満ということです。35歳で年収600万円以上の割合は約18%程度と少数派であることも、この分布から読み取れました。
参照:Doda
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35歳・年収600万円が転職に注意すべき4つの理由
先程のデータからも、35歳で年収600万円というのは、日本全体で見れば高水準ということが裏付けられました。
しかし、転職市場には思わぬ落とし穴が潜んでいます。35歳で年収600万円だからこそ、転職には注意しなければいけません。では、35歳・年収600万円が転職に注意すべき4つの理由を解説しましょう。
- 年収ダウンのリスク
- 市場価値の思い違い
- 見えないコストの存在
- ポテンシャルの不足
①年収ダウンのリスク
35歳で年収600万円の転職は、「年収ダウンの可能性」という注意点があります。この高年収帯では、社内評価、人脈といった「見えない価値」を求められるため、これらを構築できないと年収600万円を維持できません。
特に、今の年収が「自社特有の評価基準」に依存している場合は注意してください。例えば、年功序列の会社では、「実力以上に年収が高い」というケースが少なくありません。
転職直後に年収が上がっても、昇進スピードや福利厚生の違いを考慮すると、「結果的に生涯年収が下がった」となる可能性もあります。
②市場価値の思い違い
「35歳で年収が600万円=転職市場で価値がある」という思い込みは、転職活動において注意が必要です。
企業が35歳で年収600万円の人材に求めるのは、従来の業務遂行力に加え、マネジメント経験や危機対応力といった「即戦力としてのスキル」です。企業側は、採用時に年収600万円に見合った実力の有無をシビアに評価します。
加えて、「なぜこの人は転職するのか?」という転職動機への懐疑も避けられません。例えば、社内で評価されていないのか、それともキャリアに限界を感じているのか。こうした懸念は想像以上に評価を押し下げる要因となります。
③見えないコストの存在
転職には、年収の数字だけでは見えにくい、さまざまな「潜在的なコスト」にも注意が必要です。検討しておくべき注意点を見ていきましょう。
- 現職での昇進チャンスを逃す機会損失
- 重要なプロジェクトから外される可能性
- 新しい環境への適応にかかる時間と労力
- 35歳という年齢ゆえの、心理的・時間的なプレッシャー
- 教育費や住宅ローンといった、家計の固定費への影響
35歳で年収600万円の方が転職を考える際は、こうした「潜在的なコスト」を差し引いてなお、「転職する価値があるか」を慎重に注意深く、見極める必要があるでしょう。
④ポテンシャルの不足
30代の転職の注意点は、ポテンシャルの不足です。30代は社会や企業への理解が深いゆえ、20代のような「強い思いだけで未知に挑む」といった純粋なポテンシャルは弱まりがちです。
たとえご自身では変わらないと思っていても、経験した年数や社会を知ることは、時に「知らない強さ」から生まれる行動力を削ぎます。
これは、30代で年収600万円という地位を築いた方にとって、転職時に特に顕著なデメリットとなり得ます。過去の成功体験が、結果としてポテンシャル不足を引き起こすリスクは避けられないでしょう。
35歳・年収600万円での転職は「ハイリスク・ハイリターン」
このように、35歳・年収600万円での転職は多くの注意点があります。成功すれば大きな飛躍につながりますが、失敗した場合の代償はかなり大きいといわざるを得ません。
「転職」という大きな決断を成功させるためにも、焦らず、冷静に自分の市場価値や転職のタイミングを見極めましょう。
35歳・年収600万円の転職を成功させるコツ
35歳で年収600万円という立場での転職は、リスクも伴うのは代えがたい事実です。転職を成功させるには、注意すべき点と、成功のポイントを踏まえた行動を起こすことが最重要です。
では、注意点を踏まえた35歳・年収600万円の転職成功の3つのコツを見ていきましょう。
- 徹底した自己分析で「自分」を知る
- 市場価値を正確に把握する
- 効果的に自己PRする
①徹底した自己分析で「自分」を知る
転職成功の第一歩は、自分自身を深く理解することです。まず、自分の「できること」と「できないこと」を洗い出し、客観的に評価しましょう。
多くの方は自分自身を過大評価しがちですが、努力で補えない部分は誰にでもあります。転職における自己評価では、そこを冷静に見極めてください。結果の合否ばかりにとらわれ、ただやみくもにアピールするのは避けましょう。
②市場価値を正確に把握する
35歳・年収600万円での転職は、自分のスキルや経験が、転職市場でどの程度の価値があるのかを正確に把握することも重要です。具体的な把握方法としては、以下の点が挙げられます。
- 求人情報を徹底的に調べる
- 業界の平均年収を比較する
- 同業他社の情報を収集する
- ビジネスSNSで情報交換をする
自身の市場価値を客観的に見極めるためにも、余念がないよう積極的に情報収集しましょう。
③効果的に自己PRする
自分の市場価値を理解したら、それを採用担当者に効果的に伝えることも重要なポイントです。自分の立ち位置、スキル、そして強みを応募企業が求める形でPRすることで、選考を有利に進められます。
具体的な自己PRの書き方については、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。経験・スキル・業種ごとの効果的なアプローチを、具体的な自己PR例文とともに詳しく解説しています。
35歳・年収600万円の転職成功に必要なスキル
「年収600万円を稼ぐ35歳」という肩書きは、企業からこれまでの実績をどう自社に活かせるか、どういった変革をもたらしてくれるのか、という点が問われます。
では、上記を踏まえて35歳・年収600万円転職者が成功するために持っておきたいスキルを見ていきましょう。
- リーダーシップ能力
- 問題解決力
- 価値を生む専門スキル
- 柔軟性と適応力
①リーダーシップ能力
35歳・年収600万円の転職時に持っておきたいスキルの一つは、「人を率いる力」です。肩書きだけの管理職経験ではなく、以下のような「人を動かす力」の本質的なスキルが求められます。
- メンバーを理解し、個々の能力を最大限に引き出す手腕
- プロジェクト停滞時、チームを前進させる推進力
- オンライン環境のみで信頼関係を築けるコミュニケーションスキル
②問題解決力
35歳で企業に求められるスキルの一つは、「自走型の思考力」です。与えられた問題を処理するだけでなく、自ら考え抜き、数字と論理で解決を推進できる以下のようなスキルが転職成功につながります。
- 表面的な現象でなく、根本原因を見抜く洞察力
- 限られた予算・時間の中で最適解を選ぶ判断力
- 感覚に頼らず、データで分析・行動できる実行力
③価値を生む専門スキル
35歳・年収600万円の方が持っておきたいものには、価値を生む専門スキルも挙げられます。これは、実務の中で専門性を活かし、組織全体に貢献できる以下のような応用スキルです。
- 資格よりも実務で成果を上げた経験
- 専門知識をビジネスに応用した活用力
- 部門横断で連携できるT字型人材としての広さ
④柔軟性と適応力
35歳で年収600万円の方は、柔軟性と適応力も持っておきたいスキルの一つです。企業側も、以下の点を注視しながら、過去のやり方に固執せず、謙虚に新しいものを吸収できるかを見極めています。
- 異なる企業文化でも成果を出せる柔軟性
- 環境や体制の変化を前向きに受け入れる姿勢
- 技術変化に対応するための継続的な学習意欲
35歳・年収600万円の転職はプロのエージェントもおすすめ
しかし、「上記のコツを自分自身で対応できない」という方もいるでしょう。35歳・年収600万円の転職に不安な方は、転職エージェントの利用もおすすめです。
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以下の記事では、おすすめの転職エージェントを詳しく紹介していますので、複数の選択肢の中からご自身に合ったサービスを見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。
35歳・年収600万円は転職に注意についてまとめ
35歳・年収600万円での転職には、やはり数多くの注意点とリスクがありました。しかし、そうした注意点ばかりにとらわれていては、逆に自身のキャリアの可能性を狭めてしまうかもしれません。
ぜひ本記事でお伝えした注意点やリスクを踏まえた上で、より良くキャリアアップできる方法を選択し、未来の理想の働き方を実現してください。
