国内最高峰のAIエンジニア資格として知られるE資格。一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定するこの資格は、生成AIをはじめとしたAIの急速な発展や社会実装の加速に伴い、注目度がますます高まっています。
人気のE資格ですが、「E資格 過去問」でネット検索すると、「過去問はない」というキーワードが目につきます。しかし、同じJDLA主催のG検定は過去問を公開しているため、本当にE資格には過去問が存在しないのでしょうか?
そこでこの記事では、E資格の過去問の公開状況について解説します。E資格の過去問学習におすすめのサイト、および実際の例題、解答、解説もご紹介するので、E資格の過去問について知りたい方はぜひ参考にしてください。
E資格とは
E資格は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する国内最高難易度のAI資格試験です。試験では、AIエンジニアとして必要なディープラーニングの理論理解・実装能力を測定します。
AIエンジニアの専門性を証明する注目の資格
近年、AI技術への関心の高まりとともにE資格の受験者も年々増加しており、累計で8,485名(2024年9月時点)のAIエンジニアが輩出されました。
E資格は、富士通ソフトウェアマスター「Fujitsu Certificated Master AI」の資格に採用されるなど、その高い認知度と信頼性から多くの企業や教育機関から注目を集めています。
E資格の概要
E資格の試験では、高度な数学的知識やプログラミングスキルが問われ、過去2年以内に「JDLA認定プログラム」の受講を修了していることが受験の条件です。
E資格の概要は以下をご参照ください。
項目 | 内容 |
資格名称 | JDLA Deep Learning for ENGINEER(E資格) |
資格種類 | 民間検定試験 |
認定開始年度 | 2017年(平成29年) |
試験時間 | 120分 |
試験形式 | 知識問題(多肢選択式・100問程度) |
試験会場 | 各地の指定試験会場にて受験(申し込み時に希望会場を選択) |
試験形式 | オンライン実施(試験会場受験) |
受験費用 | 一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 |
E資格のシラバス
E資格のシラバスは随時改訂されているので、必ず受験前には最新シラバスを確認しておきましょう。以下は、2025年3月2日時点のE資格のシラバスを項目ごとにまとめています。
数学的基礎
- 確率・統計
- 情報理論
深層学習の基礎
- 順伝播型ネットワーク
- 深層モデルのための最適化
- 深層モデルのための正則化
- 畳み込みニューラルネットワーク
- リカレントニューラルネットワーク
- Transformer
- 汎化性能向上のためのテクニック
開発・運用環境
- エッジコンピューティング
- 分散処理
- アクセラレータ
- 環境構築
機械学習
- 機械学習の基礎
深層学習の応用
- 画像認識
- 物体検出
- セマンティックセグメンテーション
- 自然言語処理
- 生成モデル
- 深層強化学習
- 様々な学習方法
- 深層学習の説明性
引用元:日本ディープラーニング協会
E資格については以下の記事で詳しく解説しているので、受験前に詳しい情報を知りたい方はぜひご一読ください。
E資格の過去問は非公開?
E資格に関する「過去問に関する質問の声」を耳にすることは非常に多いですが、結論から申し上げると、E資格の過去問は公開されていません。
日本ディープラーニング協会の公式サイトのFAQに「E資格の例題はありますか?」という欄がありますが、ここでも「E資格の例題は公開しておりません」と明記されています。
E資格の過去問がない理由は?
E資格の過去問がない理由についても、日本ディープラーニング協会(JDLA)は公式に明言していません。しかし、試験問題の機密性保持や技術の急速な進歩への対応に加え、以下の点が理由として考えられます。
試験範囲の広さと専門性の高さ
E資格は、ディープラーニングに関する広範な知識と高度な専門性を評価する試験です。過去問だけでは十分な対策が難しく、受験者の深い理解と応用力が求められます。
実務能力を重視する試験設計
E資格は、知識の暗記ではなく、実務で応用できる能力を重要視した試験設計となっています。つまり、過去問よりも認定プログラムや実務経験を問われる資格です。
JDLA認定プログラムの重視
JDLA認定プログラムは、E資格の試験範囲を網羅し、実践的なスキルを習得できる質の高い講座です。JDLAは、認定プログラムの受講を通じて、受験者が十分な知識とスキルを身につけることを推奨しています。
このように、E資格は高度な専門性と実務能力を評価する試験であり、さらに受験必須条件として質の高いJDLA認定講座を受けるため、過去問を公開していないと推察されます。
JDLA認定プログラムを学べる!E資格対策ディープラーニング集中講座
ProSkilllのE資格対策ディープラーニング短期集中講座は、わずか4日でE資格のシラバスを網羅するJDLA認定講座です。
講座は、基礎講座、対策講座、試験問題対策、試験問題解説の4ステップで構成されており、合格に必要な知識を段階的に習得できます。事前オンライン学習では、数学や機械学習、Pythonの基礎知識を学べるため、初心者でもスムーズに本講座のカリキュラムへ進めます。
現在、お得なキャンペーン割引を実施しており、通常206,800円のコースが138,600円で受講可能です。さらに、直前フォローアップ講習(52,800円相当)も無料で提供されているので、ぜひ以下のページからお得情報や講座の詳細をご確認ください。
E資格の過去問学習におすすめのサイト
E資格は、AIエンジニアとしての高度な知識とスキルを証明する資格ですが、試験対策に有効な過去問は公開していないことが分かりました。
しかし、過去問がないがゆえ、試験対策に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。そんな場合におすすめしたいのが、ProSkilllが提供する「E資格模擬テスト AIスキルチェック」です。
E資格模擬テスト AIスキルチェック|ProSkilll
E資格模擬テスト AIスキルチェックは、インターネット環境があれば、無料ですぐ過去問に類似した例題に取り組める学習サイトです。
例えば、機械学習のタスクに関する問題では、ローンの審査を例に、与えられたデータから貸付の可否を判断するタスクがどの分類に該当するかを選択します。また、ニューラルネットワークに関する問題では、基本的なネットワークの構造から、与えられたタスクをどのように実行するかに関する問題が出題されます。
サイト上では、わずか20分程度で解答できる23問を出題。E資格の主要なシラバスを網羅しているので、「効率的に実力診断してみたい」という方にもおすすめです。事前に会員登録しておくと、例題を解き終わった直後に解答や解説を確認できます。
以下のページからもアクセスできるので、ぜひこの機会に実際の過去問に類似した例題をチェックしてみてください。
E資格の過去問学習サイトの例題・解答・解説
E資格の学習を始めるにあたって、過去問に類似した例題を解いてみたいと考える方も多いでしょう。
以下では、先ほどご紹介した「E資格模擬テスト AIスキルチェック」の中からピックアップし、解答と詳しい解説を合わせてご紹介します。
ぜひ、過去問に類似した例題を通して、E資格の出題傾向や必要な知識を把握し、効果的な過去問対策に役立ててください。
例題①ニューラルネットワーク
以下の図は基本的なニューラルネットワークのイメージ図になります。
入力層には、n個のノード(n種類の数値を入力として与える)があり、出力層には2つのノードがあります。
この図から、このニューラルネットワークは、どのようなタスクを行うためのモデルであると考えられるか、以下の選択肢の中から選べ
【解答群】
(A) 与えられたデータから、隠れた特徴を見つける
(B) 与えられたデータにある、不要なノイズを除去
(C) 与えられたデータから、犬か猫かを判別
(D) 与えられたデータから、明日の売り上げを予測
解答
(C) 与えられたデータから、犬か猫かを判別
解説
ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路を模倣した数理モデルであり、入力層(データを受け取る層)、隠れ層(中間層)、出力層(結果を出力する層)の3層で構成されています。
- 入力層:この問題では、n個のノードがあり、n種類の数値データが入力
- 隠れ層:入力されたデータから特徴量を抽出
- 出力層:この問題では、2つのノードがあり、2つの結果を出力
これを踏まえて、上記の選択肢を見てみましょう。
- (A) →これは隠れ層の働きで、ニューラルネットワークのタスク全体を示すものではない
- (B) →ノイズ除去はニューラルネットワークの応用例の一つで、この図から直接推測できない
- (C) →2つのノードがある=2クラス分類に適しているため正解
- (D) →これは回帰タスクであり、出力ノードは1つ(連続値を出す)となるため不適切
よって解答は「(C) 与えられたデータから、犬か猫かを判別」となります。
例題②ロジスティック回帰
ロジスティック回帰は機械学習の手法の1つで、主に2値分類のクラス分類を行う事が出来ます。目的変数が0~1の数値に変換されるため、その値を確率としてみなす事でタスクを実行します。
ある事象が起こる確立を、起こらない確率で割ったものを(あ)と呼び、(あ)の対数を取ったものを(い)と呼びます。
(あ)、(い)の組み合わせとして正しいものを以下の選択肢より選べ
【解答群】
(A) (あ)シグモイド関数、(い)パーセプトロン
(B) (あ)パーセプトロン、(い)シグモイド関数
(C) (あ)ロジット、(い)オッズ
(D) (あ)オッズ、(い)ロジット
解答
(D) (あ)オッズ、(い)ロジット
解説
ロジスティック回帰は、ある事象が起こる確率を予測するための機械学習の手法です。特に、結果が2つのうちどちらかになる場合(合格/不合格、成功/失敗など)の予測に適しています。
オッズとは、ある事象が起こる確率と起こらない確率の比です。例えば、試験に合格する確率が80%の場合、不合格になる確率は20%なので、オッズは80%÷20%=4となります。ロジットは、オッズの対数(log)を取ったものです。
では、解答群の選択肢を見ていきましょう。
- (A):シグモイド関数とパーセプトロンはこの文脈に不適切
- (B):パーセプトロンとシグモイド関数の説明が逆
- (C):ロジットとオッズの説明が逆
- (D):ロジットとオッズの説明が適切
したがって、正解は「(D):ロジットとオッズの説明が適切」となります。
例題③軽量化技術
計算量が膨大になりがちな深層学習モデルを、本番環境やモバイル環境でも使用出来るようにモデル圧縮を行う技術を軽量化技術と呼んでいる。
軽量化技術の手法として適切でないものを以下の選択肢から選べ
【解答群】
(A) 複製(Replica)
(B) 剪定(Pruning)
(C) 量子化(Quantize)
(D) 蒸留(Distlillation)
解答
(A) 複製(Replica)
解説
深層学習モデルは計算量が膨大になりがちなので、スマートフォンなどで利用する場合、モデルを軽量化する必要があります。これが、深層学習モデルの軽量化技術です。
では、解答群の選択肢を見ていきましょう。
- (A) 複製(Replica): モデルのサイズや計算量を増やす手法
- (B) 剪定(Pruning): モデルの重要度の低いニューロンや重みを削除し軽量化する手法
- (C) 量子化(Quantize): モデルの精度を低くしてモデルのサイズを小さくする手法
- (D) 蒸留(Distillation): 教師モデルから生徒モデルへ知識を継承し、軽量化する手法
したがって、軽量化技術の手法とは真逆の手法である「(A) 複製(Replica)」が正解です。
E資格の過去問と類似した例題を実際に解いて、「その難しさを実感した」という方がいるかもしれません。以下の記事では、E資格の難易度について、合格率の考察も交えながら詳しく解説しています。E資格の難易度を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
E資格の過去問学習に迷ったら?
E資格対策として、過去問に類似した問題でつまずいた際に、確実に理解するための効果的な学習方法には何があるのでしょうか?
E資格の過去問に類似した例題に、詳細な解説・解答がついていたとしても、なかなか理解できないという方もいるかと思います。先ほどの解説は初心者向けに丁寧にお伝えしましたが、簡易な解説のみの例題も少なくありません。
E資格の過去問に類似した例題に迷った場合、セミナー学習がおすすめです。
基礎から学べる!E資格対策ディープラーニング短期集中講座
E資格対策ディープラーニング短期集中講座は、講座に入る前に数学や機械学習、Pythonなど、E資格に必要な基本知識を学習した上でハンズオン講座の本編へ進みます。
「過去問に類似した例題の用語が理解できない」という初心者の方も不安もなく参加でき、さらにこちらの講座はJDLA認定プログラムなので、受講後はE資格受験に即チャレンジできます。
受講期間 | 4日 |
受講形式 | 会場受講 ライブウェビナー eラーニング |
受講料 | 会場受講:138,600円 ライブウェビナー:138,600円 eラーニング:54,780円(各キャンペーン特価) |
E資格の過去問についてまとめ
E資格の過去問はJDLAで公式に公開されていませんが、E資格の類似例題を学べるサイトはあります。しかし、E資格の類似例題を解けるサイトでも、解説が不十分であれば、なかなか理解できないこともあるでしょう。
そんな場合は、セミナーを利用して段階的に学び進めていきましょう。
ProSkilllのE資格対策ディープラーニング短期集中講座に参加すれば、E資格受験に必要な知識とスキルを基礎から着実に積み重ねて合格へ導いてくれます。
