DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会は増えました。
しかし、「実際に企業ではどのようなDX事例が行われているのか」「DXに関わる仕事へ転職するには、どのような知識やスキルが必要か」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、製造業・建設業・医療・物流など、さまざまな業界DX事例を紹介します。成功企業に共通するポイントや、DX推進で活躍する職種・身につけておきたいスキルについてもわかりやすく解説しているので、DX業界への転職を考えている方は参考にしてください。
DX事例一覧(業界別)
DX関連の仕事に転職したい方が、最初にチェックしたいのが「目指す業界でどのようなDXの取り組みが行われているか」というポイントです。たとえば、製造業では生産性向上や品質管理、物流では配送の最適化など、業界ごとにDXの目的が異なり、事例の内容も違います。
ここでは、各業界で実際に取り組まれている代表的なDX事例を紹介します。
- 製造業
- 建設業
- 小売・飲食業
- 金融業
- 医療・介護
- 物流・運輸業
- 自治体・公共機関
製造業のDX事例

製造業のDX事例では、生産ラインの自動化や品質管理の高度化、設備保全の効率化などを目的として、IoTやAI、データ分析技術を活用する企業が増えています。製造業のDX人材を目指すなら、どのような課題をデジタル技術で解決しているか理解することが、転職でも役立ちます。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| トヨタ自動車 | AI・IoT・データ分析を活用し、製造現場のデータを可視化・分析 | 品質改善や設備故障の予兆検知を実現し、生産性向上につなげている |
| オーテック工業 | 3DCADや勤怠管理システムを導入し、設計業務やバックオフィス業務をデジタル化 | 設計や勤怠管理を効率化し、ペーパーレス化と入力ミスの削減を実現 |
| クボタ環境エンジニアリング | IoTプラットフォームで設備の運転・点検・修繕データを一元管理 | 設備の異常を早期に把握し、予防保全や施設管理の効率化を実現 |
| AGC | AIやクラウドを活用し、製造現場とデジタル技術を融合したDXを推進 | 業務効率化や新たな価値創出を進め、「DX銘柄」に5年連続で選定 |
製造業のDX事例より、IoTやAIを導入するだけでなく、現場の課題を分析し、データを活用して業務改善につなげることが重要です。DX人材として活躍するためには、データ分析やIoT・AIの基礎知識に加え、生産管理や品質管理など製造現場の業務を理解する力も求められます。
建設業のDX事例

建設業のDX事例では、人手不足や技能継承、施工管理の効率化などの課題解決のために、BIM/CIMやドローン、ICT建機、AIなどのデジタル技術を活用する企業が増えています。DX人材を目指すなら、現場管理や設計業務のデジタル化を理解することが、転職活動に役立ちます。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| 大林組 | BIM/CIMとデジタルツインを活用し、ダム工事の施工計画や流体解析をデジタル化 | 設計・施工方法の検討期間を約1年から約3か月へ短縮し、安全リスク評価の高度化を実現 |
| 鹿島建設 | BIM/CIMを活用し、施工計画・品質管理・施工データをクラウドで一元管理 | 施工管理データの整理時間を約2時間から約30分へ短縮し、情報共有や維持管理の効率化を実現 |
| 清水建設 | BIMデータから構造解析モデルを自動生成する「BIM-FEM連携システム」を開発 | 解析モデルの作成期間を1か月以上から約3日へ短縮し、設計業務の高速化と省人化を実現 |
| 熊野組 | Smart Constructionを活用し、施工シミュレーションや施工データの見える化を実施 | 測量作業を約6時間から約10分に短縮し、施工計画の効率化や現場での情報共有を実現 |
建設業のDX事例を見ると、ただデジタル技術を導入するだけでなく、設計・施工・維持管理まで一貫したデータ活用が重要だとわかります。建設業でDX人材として活躍するためには、BIM/CIMやICT施工、ドローンなどの知識に加え、デジタル技術を現場に定着させる力が必要です。
ここまで紹介した製造業・建設業のDX事例をさらに知りたい方は、以下の無料オンラインセミナーのアーカイブで詳しい事例情報をチェックできます。業界特化のDX事例が豊富に紹介されているため、事例の内容を自社に当てはめて動き方を検討してみてください。
| セミナー名 | 製造業・建設業向けDX無料オンラインセミナー |
|---|---|
| 日時 | アーカイブ配信中 |
| 価格 | 無料 |
| 開催場所 | Zoomウェビナー(オンライン) |
小売・飲食業のDX事例
小売・飲食業のDX事例では、AIやデータ分析を活用して需要予測や在庫管理、顧客体験(CX)の向上に取り組む企業が増えています。小売・飲食業への転職を考えている方は、店舗運営やマーケティングにDXがどのように活用されているかを知ることが大切です。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| セブンイレブン・ジャパン | セルフレジやデリバリーサービス「7NOW」、店舗業務のデジタル化を推進 | 店舗作業の効率化やレジ待ち時間の短縮、デリバリー需要への対応など、店舗運営と顧客体験の向上を実現 |
| ニトリ | 基幹システムやEC、CRM、ニトリアプリなどシステムの8割超を内製化し、IT人材を育成しながらDXを推進 | システム開発のスピード向上や業務改善を実現し、店舗・物流・ECを連携した迅速な事業展開につなげている |
小売・飲食業のDX事例を見ると、業務効率化だけでなく、顧客体験を向上させることが重要だとわかります。DX人材として活躍したいなら、データ分析やマーケティングの知識を活かして、売上向上や業務改善につなげる力が必要です。
金融業のDX事例
金融業のDX事例では、AIやクラウド、スマートフォンアプリを活用し、手続きのオンライン化や業務効率化、顧客サービスの向上を進める企業が増えています。金融業への転職を考えている方は、FinTechやデータ活用の事例を押さえておくことが大切です。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| 三井住友銀行 | 次世代勘定系システムや「Olive」などのデジタルサービスを展開し、データ活用とDX人材育成を推進 | 金融サービスの利便性向上に加え、データ分析や業務効率化を進めることで、生産性向上と新たな金融サービスの創出を実現している |
| 住信SBIネット銀行 | AI審査や住宅ローン手続きのデジタルプラットフォームを構築し、契約業務をDX化 | 住宅ローン契約をオンラインで完結できる仕組みを実現し、業務効率化やコスト削減、審査・契約スピードの向上を実現している |
金融業のDX事例を見ると、顧客一人ひとりに合わせたサービスを提供することが重要だとわかります。DX人材として活躍したいなら、データ分析やセキュリティに関する知識を活かして、新しい金融サービスを企画・推進する力が必要です。
医療・介護のDX事例
医療・介護のDX事例では、電子カルテやAI、オンライン診療などを活用し、医療従事者の業務負担軽減や患者サービスの向上に取り組む事例が増えています。医療・介護業界への転職を考えている方は、医療DXの動向を理解しておくことが重要です。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| 日本赤十字社 (岡山赤十字病院) |
オンライン資格確認やマイナ保険証を活用し、医療DXを推進 | 患者の診療情報を活用した質の高い医療の提供や、受付・診療業務の効率化につなげている |
| Ubie | 生成AIでカルテ作成や診療記録、DPCコーディングを支援する医療DXサービスを提供 | 病院の事務作業を大幅に効率化し、文書作成時間の短縮や年間数千万円規模の収益改善につながった事例もある |
| SOMPOケア | 利用者データを統合し、AIで介護状態の可視化・異常検知・将来予測を実施。Palantir基盤を活用した介護DXを推進 | データに基づくケアで介護品質を向上。スタッフの判断を支援し、業務負担軽減と生産性向上を実現 |
医療・介護のDX事例からは、業務効率化だけでなく、患者や利用者へのサービス品質を高めることも重要な目的であるとわかります。DX人材として活躍するには、ITの知識に加え、医療・介護現場の課題を理解し、現場に寄り添ったシステムを導入・改善する力が必要です。
物流・運輸業のDX事例
物流・運輸業のDX事例では、AIやIoT、配送管理システムを活用し、配送ルートの最適化や倉庫業務の効率化を進める企業が増えています。物流・運輸業への転職を考えている方は、物流DXによって現場がどのように変化しているのかを理解しておきましょう。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| ヤマト運輸 | AI・機械学習やデータ分析を活用し、業務量予測や配送ルート最適化、配送オペレーションを高度化 | 配送計画の精度向上と業務効率化を実現し、高品質な配送サービスとコスト最適化を両立 |
| JR東日本 | Suica・生成AI・画像認識AI・自動運転を活用し、鉄道サービスと保守業務をDX | 移動・決済・買い物を1つのサービスで利用できる環境を整備し、利用者の利便性を向上 |
物流・運輸業のDX事例より、AIやIoTを活用して人手不足への対応と物流品質の向上を実現しています。DX人材として活躍したいなら、データ分析や物流システムへの理解を深め、業務全体を最適化する視点が欠かせません。
自治体・公共機関のDX事例
自治体・公共機関のDX事例では、行政手続きのオンライン化やAIチャットボットの導入などを進め、住民サービスの向上や職員の業務効率化を実現する取り組みが広がっています。自治体DXに携わりたい方は、行政サービスにどうDXが活用されているかを知っておくことが大切です。
| 企業名 | DXの取り組み事例 | 成果・効果 |
|---|---|---|
| 神戸市 | 行政手続きや窓口サービスをデジタル化し、市民が来庁せずに利用できる行政サービスの実現を推進 | 来庁せずに申請できる行政サービスを拡大し、市民の手続きを簡素化 |
| 福岡市 | 行政手続きのデジタル化と庁内業務の自動化を推進 | RPA・AI-OCRの導入により年間約13,270時間分の事務作業を自動化し、市民の利便性向上と行政業務の効率化を実現 |
| デジタル庁 | 行政サービスのデジタル化と政府業務の標準化・AI活用を推進 | 行政手続きのオンライン化やワンストップ化を推進するとともに、政府共通AI基盤「源内」の展開などにより、行政サービスの利便性向上と職員の業務効率化を推進 |
自治体・公共機関のDX事例より、ただ行政業務を効率化するだけでなく、住民サービスの質を高めることが重要だとわかります。DX人材として活躍したいなら、システムやデータ活用の知識に加え、行政課題を理解し、多様な関係者と連携しながらDXを推進する力が求められます。
DX事例からわかる成功企業の共通点

業界ごとのDX事例を見ると、活用している技術は異なるものの、成果を上げている企業にはいくつかの共通点があります。以下に、事例からわかるDX成功企業の共通点を整理しました。
| 成功企業の共通点 | 特徴 |
|---|---|
| 経営課題を明確にしている | DXを目的にせず、「人手不足の解消」「品質向上」「コスト削減」など、解決したい課題を明確にしたうえでDXを推進している |
| 現場を巻き込んで推進している | 経営層だけでなく、現場の意見を取り入れながらシステムを定着させ、継続的な改善につなげている |
| 小さく始めて改善を繰り返している | 一部の部署や業務で検証(PoC)を行い、効果を確認しながら段階的に全社へ展開している |
| データを活用して意思決定している | IoTやAIで収集したデータを分析し、業務改善や経営判断に活用している |
DX人材への転職を目指すなら、DXツールの知識だけでなく、「どのような課題をデジタル技術で解決するのか」という視点が重要です。こうした考え方は独学でも学べますが、実際のDX推進では業務改善やデータ活用、KPI設計などを体系的に理解することが欠かせません。
以下のセミナーでは、DXとデジタル化の違いから、業務フロー分析、AI・IoT・RPA・データ活用、組織変革までを短期間で実践的に学べます。DX推進担当や業務改善担当、DX人材を目指す方におすすめです。
| セミナー名 | DXビジネススキルセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 29,700円〜 |
| 受講期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
DX事例から見る転職市場で需要が高い職種

DX事例を見ると、多くの企業がAIやIoTなどの技術だけでなく、それらを活用して業務改善を進められる人材を求めています。ここでは、DX推進で特に需要が高い代表的な職種と仕事内容、向いている人の特徴を紹介します。
DX推進担当
DX推進担当は、社内の課題を整理し、デジタル技術を活用して業務改善やDXプロジェクトを推進する仕事です。
ITだけでなく、現場や経営層と連携しながらプロジェクトを進めるため、コミュニケーション力や課題解決力が求められます。IT経験がなくても、業務改善やプロジェクト管理の経験があれば、DX推進担当への転職を目指しやすいでしょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業の経営課題や業務課題を分析し、最適なITシステムやDX施策を提案・導入支援する仕事です。
論理的思考力や提案力が求められるため、営業や企画職などで課題解決に携わった経験も活かせます。IT知識に自信がない場合は、クラウドやDXの基礎知識を学ぶことから始めるのがおすすめです。
データアナリスト
データアナリストは、企業が保有するデータを分析し、売上向上や業務改善につながる提案を行う仕事です。
DX事例でもデータ活用は成功の共通点となっていて、人材需要が高まっています。
数字を分析することが好きな人に向いており、ExcelやSQL、BIツールなどのスキルを身につけることで転職の幅が広がります。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AIモデルの開発や機械学習システムの構築・運用を行う仕事です。
製造業の品質検査や金融の審査、医療の画像診断など、多くのDX事例でAI技術が活用されています。プログラミングや数学の知識が必要になりますが、Pythonや機械学習の基礎から学び始めることで、未経験から目指すことも可能です。
また、AIエンジニア向けの資格情報を知りたい方は、事例と合わせて以下の記事をチェックしてみてください。
社内SE
社内SEは、自社のシステム導入や運用、ITインフラの整備を担当するなど、DXを技術面から支える仕事です。
現場の要望をヒアリングしながらシステムを改善する機会も多く、ITスキルだけでなくコミュニケーション力も重要になります。開発経験がなくても、ITサポートやヘルプデスクなどの経験を活かしてキャリアアップを目指す人も少なくありません。
DX事例から見るDX人材になるために身につけたいスキル
DX人材にはDX推進担当やITコンサルタント、データアナリストなどさまざまな職種があります。ただ、仕事内容は異なっても、DX事例の活躍人材には次のように共通して求められるスキルがあります。
- データ分析・AI活用スキル
- クラウド・ITの基礎知識
- 業務改善・課題解決力
- プロジェクトマネジメント力
なお、DX人材への転職では、事例にあるようなスキルを完璧に身につけている必要はありません。これまでの経験を活かせる職種を選び、不足している知識を事例などから少しずつ学ぶことが大切です。
たとえば、製造業で生産管理の経験がある方はDX推進担当、営業経験がある方はITコンサルタント、データ分析が得意な方はデータアナリストなど、これまでのキャリアとDXを結び付けて考えることで、自分に合った転職先を見つけやすくなります。
DX事例を見て「社内育成vs外部研修」はどちらがいい?

DX事例を見ると、多くの企業が自社独自でDX人材を育成しているように感じます。
もちろん、社内だけでDXを推進する事例も多くありますが、そのほとんどは多くのノウハウを蓄積している大企業が中心です。
一方で、中小企業の場合は社内だけでDX人材を育成することに加え、外部研修などで最新情報や技術を学ぶ事例も少なくありません。
そのため、社内だけでDX人材を育成できないとお悩みなら、育成事例や実績の多い外部サービスを活用するのも一つの手です。研修サービスでは、企業課題に合わせたDX事例や解決策を提案し、実際に活躍できるDX人材を育成できます。
また、DX人材の役割や取り組み事例について詳しく知りたい方は、本記事の事例に合わせて以下の記事もチェックしてみてください。
DX事例についてまとめ
DX事例を見ると、すべての業界で共通しているのは「デジタル技術で現場の課題を解決し、新たな価値を生み出していること」です。また、DXを推進する企業では、DX推進担当やITコンサルタント、データアナリストなどの需要も高まっています。
DX業界への転職を目指す方は、事例から企業の取り組みや求められるスキルを理解し、自身の経験を活かせる職種を見つける参考にしてみてください。