仕事のストレスや人間関係などが原因で、「退職」という言葉が頭をよぎった経験がある方も多いのではないでしょうか。
退職時には様々な感情が入り混じりますが、意外と煩雑な「退職手続き」についても把握しておくことが重要です。社会人としての責任をしっかり果たすためにも、退職前にやるべきことを押さえておきましょう。
この記事では、退職する前にやることを時系列でわかりやすくまとめました。退職後に必要な手続きについても触れていますので、退職を検討している方はぜひ参考にしてください。
退職する前にやることは?

会社を辞めることを決意したら、次は「退職する前にやることは?」と考える方も多いでしょう。退職する前にやることは案外多く、事前に把握しておかないと周囲に迷惑をかけてしまいかねません。
ここでは、退職まで慌てないよう、退職する前にやることを、時系列順にわかりやすくまとめました。まずは、以下の一覧表で退職する前にやることの流れをご確認ください。
| やること | 目安の時期 | 詳細 |
| ①退職の意思を上司に伝える | 1~3ヶ月前 | 直属の上司に一対一で相談 |
| ②退職届を提出 | 1ヶ月前 | 人事部へ書面で正式に提出 |
| ③業務の引き継ぎ | 逆算で3日前に完了 | 計画的に引き継ぎを完了 |
| ④有給休暇の消化 | 1ヶ月程度前から | 計画的に有給を取得 |
| ⑤取引先への挨拶 | 2~3週間前 | 社外関係者への退職挨拶 |
| ⑥返却物の準備 | 数日前~1週間前 | 会社への返却物を整理 |
| ⑦受け取り書類の把握 | 退職日まで | 必要書類の受け取り確認 |
| ⑧最終日の挨拶回り | 最終出勤日 | 感謝の気持ちを伝える |
①退職の意思を上司に伝える(1~3ヶ月前)
退職する前にやることのスタートは、直属の上司への相談です。
「辞めたい」と思っても、いきなり人事部に行ったり同僚に話したりするのは避けましょう。まずは直属の上司に時間を作ってもらい、一対一で話をしてください。
タイミングとしては、退職希望日の1~3ヶ月前がベストです。
急な退職は、後任探しや引き継ぎが間に合わないなど、会社に迷惑をかけてしまいます。民法では、正社員でも退職2週間前でOKとされていますが、やはり、十分な余裕を持ち、円満退職を目指しましょう。
退職理由はポジティブに
上司に退職理由を聞かれたとき、本音では「人間関係が嫌」「仕事がつまらない」と思っていても、そのまま伝えてはいけません。「新しい分野にチャレンジしたい」「スキルアップを目指したい」など、前向きな理由に言い換えましょう。
②退職届を提出(1ヶ月前)
上司から退職の承諾を得たら、次に人事部へ退職届(または退職願)を提出しましょう。退職届の提出自体は法律で義務付けられていませんが、口頭での合意は後から証明しにくいため、書面で提出することをおすすめします。
もし、リストラや部門閉鎖など、会社都合で退職する場合、通常は退職願の提出は不要です。会社から提出を求められた際は、必ず「部門統廃合のため」「会社の業績悪化により」といった、具体的な理由を正確に記載してください。
退職届より離職票の記述内容が重要
この際、退職届の内容よりも、離職票の記載に注意が必要です。雇用保険(失業保険)を受給する上で最も重要となるのは、会社がハローワークに提出する「離職票」の「離職理由」欄だからです。
仮に退職願に「一身上の都合」と記載してしまっても、離職票の理由が「会社都合」になっていれば、通常通り雇用保険を受け取ることができます。
③業務の引き継ぎ(退職3日前をめどに完了)
次のステップでは、退職日から逆算して業務の引継ぎ計画を立てましょう。引継ぎの計画を立てる際、退職日直前をゴールにすると、何かあったときに対応できません。できれば、退職前3日前に完了するようにしてください。
引き継ぎのポイント
業務引き継ぎの際、キリの良いところまでは自分で完結させるのがマナーです。中途半端な状態で「あとはお願いします」というのは、引き継ぐ人にとって負担になります。
継続案件については、これまでの経緯や今後の予定を詳しく説明し、引き継ぎ資料も作成しておきましょう。後任者がいる場合は、実際に作業を見せながら教えると理解してもらいやすくなります。
④有給休暇の消化(退職日の1ヶ月程度前から)
退職する前にやることの一つは、残った有給休暇の消化です。
有給は労働者の権利なので、できる限り取得してください。会社は原則として時季変更権(別の日に取得してほしいと依頼する権利)は持ちますが、拒否はできません。
ただし、引き継ぎや業務への影響を最小限に抑えるため、会社側と十分に調整し、1ヵ月程度余裕をもって計画的に取得しましょう。
最終出社日と退職日をずらすことも可能
これは「有給消化期間」として広く行われている方法です。最終出社日をもって実質的な業務を終了し、そこから退職日までの期間を有給休暇に充てることで、出社することなく有給を消化できます。
⑤取引先への挨拶(退職日の2~3週間前)
退職日の2~3週間前になったら、お客様や取引先への退職挨拶を行いましょう。ただし、会社によっては「退職のことは内緒にして」という方針のところもあるので、必ず上司に確認してから行動してください。
挨拶の方法
退職の挨拶は、退職者自身が直接会うのがベストですが、スケジュールが合わない場合はメールで対応しましょう。この際、一斉送信ではなく、一人ひとりに個別のメールを送ると、より丁寧な印象を与えられます。
⑥返却物の準備(最終出社日の数日前~1週間前)
退職する前にやることには、返却物の準備も挙げられます。退職時に会社に返却するものは、以下の様に意外とたくさんあるものです。
なお、返却する時は、受け取りのサインをもらっておくと安心です。返却物が破損、もしくは紛失している場合、早めに上司に相談しましょう。
仕事関係
- 社員証、名札
- 会社のパソコン、携帯電話
- 名刺(自分の分と取引先からもらった分)
- 制服、作業着
- 社用車
その他
- 健康保険証
- 社員寮や社宅の鍵
- 会社の備品、業務資料、書類
- データ、ID/パスワード
⑦退職時に受け取る書類の把握
この際、同時に受け取る書類を事前に把握しておくと良いでしょう。
事前に必要書類を知っておくと、抜けや漏れがあった場合、その場で対応できます。なお、退職日に受け取れない書類については、いつもらえるか確認しておくことが重要です。
| 退職時に受け取る書類 | 概要 |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先で雇用保険に入る時に必要 |
| 年金手帳 | 年金の記録確認用 |
| 源泉徴収票 | 確定申告や年末調整で使用 |
| 離職票 | 失業保険をもらう時に必要(転職先が決まっている場合は不要) |
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険に入る時に必要 |
なお、年金手帳は令和4年3月31日で廃止されたため、これ以降に入社した場合は上記の年金手帳は含まれません
⑧最終日の挨拶回り(最終出勤日・退職日)
退職する前にやることの最終ステップは、最終出勤日(退職日)の挨拶です。
この際、上司や同僚、後輩など、誰に対しても「ありがとうございました」の一言を添えてください。この言葉がないまま退職すると、今後ずっと後悔や気まずさといったネガティブな感情が残ってしまいます。
挨拶の際は、相手の貴重な時間を無駄にしないことも重要です。短く、しかし感謝の気持ちが伝わるように伝えましょう。朝礼や終礼などでスピーチの場が設けられている場合は、事前に簡単な原稿を用意し、落ち着いて挨拶できるよう準備しておいてください。
退職の挨拶については、以下の記事で詳しく解説しています。ユーモアを交えた心温まる挨拶の事例も紹介していますので、挨拶内容に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
このように、退職する前にやることは多々ありますが、一つずつ計画的に進めれば大丈夫です。早めに準備を始めて、スムーズで円満な退職を目指しましょう。
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退職する前にやることが終わったら?

退職する前にやることが終わったら、次は退職後の生活に向けた公的手続きを進めます。
退職後の公的手続きは、転職先の有無や入社時期によって異なりますので、まずは以下の一覧表で整理しましょう。
| 項目 | 転職先あり(空白期間なし) | 転職先あり(空白期間あり) | 転職先なし |
| ①失業給付金 | 不要 | ハローワークで申請 (入社前まで受給可能) |
ハローワークで申請 (求職活動必須) |
| ②健康保険 | 転職先で新規加入 | 任意継続・国保・扶養から選択 | |
| ③年金 | 転職先が手続き | 14日以内に国民年金に切り替え・納付 | |
| ④住民税 | 転職先で特別徴収 | 各自治体に普通徴収で個別納付 | |
①失業給付金
雇用保険に加入していた方は、退職後に「雇用保険(基本手当)」を受け取れます。
対象者と受給条件
仕事が決まっておらず、再就職の意思がある方が対象です。原則として退職前2年間で12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要です。
申請と給付の流れ
会社から渡される「離職票」をハローワークに持参し、求職申込みを行います。その後、7日間の「待期期間」を経て給付が開始されます。
自己都合退職の給付制限期間
- 2025年3月までの退職:待期期間後、2ヶ月の給付制限
- 2025年4月以降の退職:待期期間後、1ヶ月給付制限(待機期間は含まず)
ただし、5年以内に3回以上の自己都合退職があると、制限期間が3ヶ月に延長されます。
会社都合退職など
リストラや倒産など会社都合、または正当な理由がある自己都合退職の場合は、給付制限期間はありません。
支給額や期間は給与や加入期間で異なり、短期雇用者向けに「特例一時金」もあります。詳細はハローワークで確認しましょう。
②健康保険
退職後は会社の健康保険が使えなくなるため、以下から健康保険の形式・種類を選びます。
| 加入方法 | 概要 | 申請方法/場所 |
| 転職先で加入 |
|
会社が手続き |
| 社会保険任意継続 |
|
前職の健康保険組合へ申請 |
| 国民健康保険 |
|
市区町村役場で手続き |
| 家族の扶養 |
|
扶養者の会社に加入を申告 |
③年金
年金も、健康保険と並行して手続きを進めましょう。
年金手帳がない場合、マイナンバーカードを提出します。基礎年金番号はマイナンバーカードに紐付けされているので,別途提出する必要はありません。
| 状況 | 手続き方法 | 申請方法/場所 |
| 転職先あり | 年金手帳(マイナンバーカード)を提出 | 会社が実施 |
| 転職先なし、空白期間あり | 14日以内に国民年金に切り替え・支払い | 市町村役場 |
国民年金の加入は義務ではありませんが、後に加入する場合は遡って支払う、空白期間がる場合は将来の受給額が減額されるため注意しておきましょう。
④住民税
住民税は前年の所得に基づいて課税される仕組みで、現在の収入状況に関わらず支払い義務があります。
雇用中は給与から毎月天引き(特別徴収)されていましたが、退職により納付方法が変更されるので、あらかじめ把握しておきましょう。
| 状況 | 納付方法 | 申請方法/場所 |
| 転職先あり |
|
会社が実施 |
| 1月~5月退職 | 退職月の給与で5月分まで一括徴収し、不足分は普通徴収 | 市町村役場 |
| 6月~12月退職 | 普通徴収へ切り替えて、納税通知書に従って支払い |
退職の手続きについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
上記でお伝えした項目をさらに深掘りしているので、合わせてご一読いただき、漏れなく手続きを進めてください。
退職する前にやることの注意点

続いて、退職する前にやることの注意点を3つお伝えしましょう。
- 会社の就業規則をチェックする
- スケジュールを具体的に立てる
- 退職する前にやることをリスト化する
①会社の就業規則をチェックする
退職時には会社独自のルールが適用されるため、就業規則を必ず確認しましょう。退職届の提出期限や引き継ぎの期間、必要な手続きなどを事前に把握しておくと安心です。
②スケジュールを具体的に立てる
退職日までの流れを具体的に決めておくと、慌てずに準備できます。特に引き継ぎや社内の挨拶回りは意外と時間がかかるため、余裕のある日程を組み立てましょう。退職後の生活についても大まかに予定を立てておくと安心です。
③退職する前にやることをリスト化する
手続きや返却物、準備すべき書類など、退職する前にやることは案外多くあります。退職する前にやることを時系列でリスト化しておくと、抜け漏れなくスムーズに進められます。
退職する前に知っておくとためになる情報
退職を検討している方は、会社との交渉や手続きで不利になることを恐れているケースもあるでしょう。しかし、法律や制度を正しく理解していれば、不当な要求を断り、自分の権利を適切に主張できます。
ここでは、退職する前に知っておくとためになる情報を一覧表でお伝えしましょう。
| 項目 | 権利 | 概要 |
| 退職理由の説明 | 具体的理由を伝える義務なし | 「一身上の都合」で通用 |
| 即時退職 | 違法行為があればその場で退職可能 | パワハラ・未払い等があれば即時対応 |
| 有給休暇消化 | 残日数の完全消化は労働者の権利 | 会社は時季変更権のみ |
| 有給休暇残日数 | 未消化日数と買取制度 | 日給分の現金化 |
| 未払い残業代 | 過去3年分の残業実態 | 残業代の請求可能性 |
| ボーナス受給支給 | 在籍であれば受給権あり | 支給後の退職意思表示が安全 |
| 転職タイミング | 月・12月は求人増加 | 時期企業間競争で条件向上の可能性 |
| 競業避止義務 | 誓約書提出の拒否権あり | 署名強要は違法、拒否しても退職可能 |
退職する前にやることで重要なのは、「損をしないように戦略的に退職する」ことです。適切なタイミングと手続きを踏むことを知っておくと、手に残る金額に大きな差が生まれます。
退職後の生活基盤を安定させるためにも、ぜひ感情的な判断ではなく、冷静な準備で退職を実現してください。
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退職する前にやることについてまとめ
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